ジャガー・ランドローバー雪上試乗会
公開 : 2016.02.02 23:40 更新 : 2022.12.12 21:29
「今尾さまがお見えになっておりません」 雪上試乗会場からの知らせにAUTOCAR編集部は凍りついた。今尾特派員はどこへ消えたのか。そして、原稿は無事に届くのか。
1月の最終週、ジャガー・ランドローバー・ジャパン雪上試乗会が長野県大町市のくろよんロイヤルホテルをベースに開かれた。おりしも沖縄に観測史上初の雪を舞わせた大寒波が日本列島に襲来した直後のことである。白銀が呼んでいる。ヤッホー!
しかし、不覚にも私は東京8時36分発の北陸新幹線かがやき505号に乗り遅れてしまった。次の長野行き新幹線は9時04分発のあさま605号だった。長野着は、かがやきより1時間以上遅れる。
どうする、俺……。
今回、ジャガーF-タイプの2016年モデルから加わったAWDを主役に据えて試乗記を書く、というミッションを私は帯びていた。
F-タイプは2013年に登場した、フロント・エンジンの2座スポーツカーである。その名称が示すように、かのE-タイプの精神的後継車とされる。1961年のジュネーブ・ショーで発表されたE-タイプは、いまさら申し上げるまでもなく、自動車史に燦然と輝く傑作である。自動車のカタチをしたイングリット・バーグマンかグレース・ケリーか(どっちもイギリス人ではないけれど)と表現できるぐらい美しくて、しかも当時としてはとんでもなく高性能で、おまけに性能の割に価格が安かった。その現代版であるところのF-タイプに、私はつねづね一度触れてみたいと思っていたのであった。
1時間遅れでくろよんロイヤルホテルに到着した私は、名物の黒部ダムカレーを急いでいただき、試乗開始に間に合うことができた。それもこれもジャガー・ランドローバー・ジャパン広報さまが予備のクルマのXEで長野駅まで迎えに来てくださったおかげであった。
雪上試乗会、AUTOCARはまずレンジローバー・オートバイオグラフィで90分かけて鹿島槍スキー場の特設雪上コースまで行く。そこでホテルまで復路のクルマ、ディスカバリーと交換する。交換したら、F-タイプのAWDとXEの後輪駆動で圧雪コースをグルグル回り、その後、ディスカバリーでモーグル・コースを走って踏破能力を確認してホテルに戻る、というものであった。