ジャガー・ランドローバー雪上試乗会
公開 : 2016.02.02 23:40 更新 : 2022.12.12 21:29
F-タイプに乗れる時間はごく限られていた。200mほどのオーバル・コースを6周するだけである。キーラ・ナイトレイのことをよく知らないのに、突然乗り込み、狭い雪上でむりやり……。なものだから、つまりなんだかよくわからないままに終わってしまった。
振り返ってみて、最初はまだしもよかったのは、すべてをクルマに任せていたからだ。コーナーの出口でリアが出ると、カウンターステアを当ててアクセルを踏むだけで何事も起きることなく走り続けることができた。
トラコンを切れば、ドリフトしながらコーナーを回ることができる、という夢想、妄想が私をしてトラクション・コントロールのスイッチを切らしめた。その後はアンダーステアが出まくりのタコ踊り状態に陥った。そもそも曲がれなくて曲がれなくて、どうしようもなくヘタなのだった。
ああ、私はヘタじゃー。
と開き直ったところで情けないだけである。私にわかったのは以下の事である。ジャガーF-タイプR AWDクーペは550psの高性能スポーツカーでありながら雪を苦手としない。電子制御に任せていれば、ドライバーの背後でドライバー(私)の想像もつかないあれやこれやをせっせとやっている。そこに不自然さがない。だから、私のようなヘタの横好きは勘違いしてトラコンを切ったりしてしまう。
AWDの最低地上高は2WDとまったく同じだから、AWDであることを示すのはバッヂだけだ。車重が50kg重いけれど、それは目に見えない。0-100km/h加速は2WDよりコンマ1秒速い4.1秒という俊足ぶりである。北国や雨季のある国のエンスージアストにとって選択肢が増えたことを言祝ぎたい。
私としてはF-タイプともう少しお付き合いをしてみたかったので、F-タイプに乗って帰りたい、とジャガー・ランドローバー・ジャパンさまに申し出た。残念ながら、その時すでにキーラ・ナイトレイはトランポに積まれており、私の願いは叶わなかった。ああ無情。