ステアリングは初期型の991から小さくなった。ちゃんと円形だし手にフィットするので、その辺は安心されたい。インフォテインメント・ディスプレイは大きくなっており、スマートフォンのように簡単に操作できる。

一瞬でどちらがいいかを判断するならば、多くの人がF-タイプを選ぶだろうが、長く付き合うほどによさを感じられるのは911の方だろう。後席がF-タイプより広いのも、グランド・ツアラーにとって大事なことである。

ポルシェは高速スポーツカーであるということを敢えて今、宣言する必要はないかもしれないが、F-タイプを目の前にしてもやはり速い。

そう感じるのは、911ターボやGTSでなくとも97km/hまでを4秒以下で走れるようになったからなのだろう。AUTOCARのフル・テスト時の実測値では、PDKとスポーツ・クロノ・プラスを組み合わせローンチ・コントロールをセットし、97km/hまで3.5秒をマークした。

これは996世代の911ターボより速い。997世代のGT3 RSよりも速いのだ。ちょっと信じられない。

ミドル・レンジのターボチャージャーによるトルクは、驚くべく0-97km/h加速の実現のほんの一部のファクターに過ぎないことも覚えておくべき。

それよりも突出したトラクションと、思わず唸り声をあげるほどのトランスミッションの仕事が一役も二役も買っているのだ。

低回転域のパワー・デリバリーと、すべての回転域のフレキシビリティの向上をターボが担う。よってとにかく速く感じる。シフト然り、目醒しく速いのだ。

一方のジャガーはパワーとトルクで911を押しのけていこうとする。ポルシェのフラット6と比べると、生まれや育ちの明らかな違いを感じる。

同時にV8の怒号もあってか、F-タイプの方がはるかに重く感じる。勢いはあるのだが4.4秒という97km/h加速のタイムが示すとおり実際にも911に追いつけない。

最大トルクも911の方が早い段階でピークに達するため、3500rpmまで待たなければならないのも辛い。