ポルシェ911カレラS vs ジャガーF-タイプR
公開 : 2016.02.03 23:50 更新 : 2017.05.29 19:30
そのうえ8速のオートマティック・トランスミッションもポルシェのPDKと同じような仕事をしない。まぁこれに関しては、ジャガーは既成の言い訳をいつものように用意しているはずだが、われわれは満足しない。
音はF-タイプにしかない立派なもの。フル・スロットル時は、キャビンの静粛性などを無視したけたたましさに痺れる。可変エグゾーストを ‘わんぱく’ モードにすれば、パーシャル・スロットル時でもかなりの音量だ。
ただ、ポルシェのフラット6が単調で凡庸だというつもりはまったくない。破壊的なキャラクターをもちあわせたライバルと比べても、フラット6の奏でるいかにも機械らしい音に味わいを感じる。
もちろんある程度までオブラートに包まれているのだが、そこでエンジンが仕事をしている感覚がたしかにある。低回転域ではターボ・ラグをわずかに感じるが、他のターボ・エンジンと比べるとはるかに反応もいい。
さらに乗り心地、ハンドリングの洗練性の面でも911はF-タイプに優っている。車体はつねにフラットさを保ち、アクセル・ペダルの細かな操作でボディの向きを調整できる。シンプルなのだが隙がない。
今回のフェイスリフトにて、ダンパー、アンチ・ロールバーはチューニングしなおされた可変ダンパーのソフトウェアに合わせて改められた。
足元は以前よりも軽く感じられるし、バンプを不意に踏んだでも慌ててコントロールしなおす必要がない。コーナーでの動きは鋭いし、バランスが常に保たれている。