マツダ・デミオXDツーリング
公開 : 2016.02.09 23:55 更新 : 2017.05.29 19:13
素直な運転感覚へのこだわりはパワーステアリングの制御変更にも現れている。従来は操舵初期の操舵力の立ち上がりが急激。好意的に解釈すればタイヤのグリップ力を感じさせる手応えとなるが、操保舵力の急激な変化や重さはドライバーに身構えるような緊張をもたらす。MCの改良はその余計な緊張を取り除くのが目的。パワーステアリングのアシスト特性が変更され、実際に運転してみても操舵力の立ち上がりはかなり穏やかになっていた。操舵感全般が軽くなった印象を受けるが、高速走行での中立の収まりやコーナリングでの据わりは良好である。デミオのハンドリングは操舵初期反応を早くして穏やかな方向制御と走行ライン制御を得るのが特徴。滑らかで落ち着いた操縦特性であり、つまりMCの改良は操縦性と操舵感の相性を高めたわけだ。
改良による変化だけを書き出すと新旧で大差があるように誤解されそうだが、基本的な性能や魅力は変わっていない。ガソリン2ℓ超級に匹敵する最大トルクを低回転域で発生し、急加速しなければ大概を2000回転以下で賄ってしまう1.5ℓターボディーゼル。街乗りには少し硬めだが、高速域でも据わりの良いハンドリング等々は同クラスが苦手とする高速長距離走行や山岳路走行にも適している。言い方を換えるならクラスを超えた余裕と安心感が生み出す運転疲労の少なさだ。それは最終的には運転を意識せずに運転できる性能と特性に繋がり、この改良の狙いもそこにある。馴染むような肌触りのよさを感じさせる運転感覚がさらに疲労を減らしてくれたのだ。