三菱ミラージュG

公開 : 2016.02.11 23:40  更新 : 2017.05.29 19:26

■どんな感じ?

試乗会場に並べられていた新型ミラージュは、遠くからでもその違いがはっきりとわかる。以前はグリルレスのシンプルなフロント・マスクだったが、新型ではブラック・ペイントされたメッシュ・グリルが与えられ、その周囲は煌びやかなメッキモールで囲まれる。同様にフロント・バンパーにもエア・ダクトやメッキ・モールが装着され、一言でいうと「イカツく」なった。フロント全体のボリューム感が増していると思ったら、ボンネットの膨らみも大きくなっているようで、全体的に筋肉質になった印象を受ける。

グリルやフロント・バンパーに穴をあけ、ダクトを増やすことでスポーティさを演出し、さらにメッキモールで囲うことで高級感をアップさせる……という手法はやや前時代的と感じるものの、少なくとも外観から安っぽいイメージは払拭された。従来モデルに比べ、あまりにも男性的なフォルムになりすぎてやしないかと心配もしてみたけれど、試乗に先駆けて行われたプレゼンテーションでは「事前予測に反して女性オーナーが少ない」ことがメーカー広報から語られており、その層からの支持が減少してでも全体の販売台数増を優先したいということだろう。

新しくなった外観をぐるっと眺め、いざ乗り込もうとドア・ノブに手をかけると……違和感ととともに、少し懐かしい気持ちになった。それはドア・ノブのカタチ。今やヴィッツやフィットはもちろん同クラスのマーチでさえも、握りこんで引っ張るタイプのドア・ハンドルを採用する。対してミラージュは、ドアノブの下に手を入れて引っ張りあげるオーソドックスなスタイル。個人的にはどちらが上級な装備とも思わないけれど、乗り込む前から旧来な印象を抱いてしまったのは正直なところ。

ドアそのものはリッタークラスとは思えないほど建て付けがしっかりとしていて、インテリアの質感はたしかに大幅にアップした。決して高級感にあふれているとは言い難いけれど、中央部分がピアノブラックとされたインパネや、オートエアコンの操作部周辺などはシンプルでありながら落ち着いた印象でまとめられている。操作ボタンの数が少なく直感で操作できる点は、コンパクトカーとして優れた資質の表れだと思う。

今回から1種類だけとなった1.2ℓDOHC3気筒エンジンは、最高出力78ps/6000rpm、最大トルク10.2kg-m/4000rpmを発揮。しかしその数値以上に低速域での力強さが印象的で、大人3人が乗った状態でも、街中での加速にはまったく物足りなさは感じない。さすがに100km/h巡航での長距離走行は疲れるかもしれないけれど、街中での移動やたまに郊外まで足を伸ばすといった使い方であれば、フル乗員でも力不足を感じることはなさそうだ。

エンジンのトルクデリバリーに頼もしさを感じるいっぽうで、走りだしてすぐ気になるのは排気音である。ボリュームの大きさもさることながら、篭ったようなボウボウという音が室内に遠慮なく入ってくる。コンパクトカーなので車内への音の侵入はある程度仕方がないとしても、もう少し乾いたというか、心地よい排気音だと気にならないと思うのだけれど。なお後席に座っていると、リア・タイヤが巻き上げた砂がタイヤ・ハウス内に当たる音が響き渡り、さらにこの排気音も入ってくるしで、すぐに収まりきらない路面からの突き上げもあってなかなか落ち着かない。やはりコンパクトカー、基本的には1名ないし2名で乗ることが望ましいということか。

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