フェラーリ、ハイブリッド・モデルを計画
公開 : 2016.02.11 22:55 更新 : 2017.06.01 01:38
フェラーリは、モーターのみで48kmほど走行が可能なハイブリッド・モデルを生産する計画だ。というのも、昨年6月に出願された特許にハイブリッド・システムに関するものが含まれていたからだ。
フロント・エンジン・フェラーリであるF12ベルリネッタは、2010年代の終わりごろまでに次のモデルにバトンタッチすることになりそうだが、現行F12に新しいパワー・ユニットとしてハイブリッドを積むものではないようだ。フェラーリのハイブリッド・システムは、フロント・エンジンにモーターを取り付けるのではなく、リアにマウントしたトランスアクスルのギアボックスにモーターを組み合わせるというものである。また、この方式はミドシップ・マウントにも流用できるという。従って、現在計画されているエントリー・フェラーリであるV6ターボ・ユニットをミドにマウントするディーノが、限定ではない生産型フェラーリとして初のハイブリッド・モデルとなる可能性もある。
フェラーリは2010年に最初のハイブリッド・コンセプトを599ベースで披露。そして2013年のラ フェラーリではパフォーマンスを向上させるためにモーターを搭載した。しかし、現時点ではシリーズ・プロダクション・モデルのハイブリッド・ユニット・モデルは登場していない。
ただし、フェラーリも他の多くのメーカー同様に、大気汚染を減らすためにはゼロ・エミッション・モデルが必要であると考えているようである。そして、ロンドンは2025年までに、都市部に入ってくるクルマはゼロ・セミッション・モデルに制限するという発表した。こうなると、カルフォルニアTや新しいディーノのような普段使いのフェラーリは、この命題をクリアする必要が出てくるのだ。
2013年に、カリフォルニアのボディを短くした599のシャシーと組み合わせたテスト車両がスクープされたが、これは今考えるとこの特許を出願するための初期型のハイブリッド・モデルのテストであったと思われる。
フェラーリのハイブリッドに関する特許は、どうやらバッテリーのマウント方式にあるようだ。599コンセプトでは3kWhという小さなリチウム・イオン・バッテリーを搭載していたが、現在、ゴルフですら8.8kWhのバッテリーを搭載している。つまり3kWhではバッテリー・キャパシティが小さすぎるのだ。そのため、大型になるバッテリーを2シーター・スポーツにどのように収納するかというのが、今回の特許だ。
フェラーリはご存知のようにスポーツカーであり、ドライバーは低いポジションに座ることとなる。従って、普通のハイブリッドやEVのようにフロアにバッテリーをマウントすることができない。従って、左右のサイドシルにバッテリーをマンントすることになるが、その離れたバッテリーをサポート・マトリックスという方式でつなぐというのが特許なのである。
このサポート・マトリックスを使えば、サイド・クラッシュに対して安全な方法でバッテリーを搭載できるのだという。サポート・マトリックスがサイド・クラッシュした時にバッテリーを安全に電気的に切り離し、ショートを防いでくれる。つまり、クラッシュした時点で、バッテリーは接続を解除されることになる。個々のバッテリーは非常に安全なレベルの電圧であるため、ドライバーの安全性が確保されるという。