スズキ・アルト・ワークス
公開 : 2016.02.15 23:55 更新 : 2017.05.29 18:41
ちなみにエンジンは658㏄3気筒DOHCターボで、64ps/6000rpmと10.2kg-m/3000rpmを発生、対する車重はMT仕様のFWD=2WDで670kgという軽量だから、パワー・ウエイト・レシオは10.5kg/psという数値になる。
ただしその走りには、エンジンチューンだけでなく3ペダルMTのシフトの歯切れ良さも功を奏しているものと思われる。実際、ワークスのギアシフトフィールは素晴らしい出来だ。まずストロークが短いのが好ましいが、そうすると操作が重くなることが多い。ところがワークスのそれは操作力も軽く、場合によっては軽すぎると感じられるかもしれないほどだ。それに加えて、ワイア作動式でありながらゲートが確実なのもいい。
では、そのパワートレーンを支えるシャシーはどうか。サスペンションはFWDの場合、前ストラット、後トーショナルビームの組み合わせだが、ステアリングレスポンスを重視して立ち上がりの減衰力を高めた、ワークス専用セッティングのKYBダンパーを備える。
その効果もあって、箱根の長尾峠のようなタイトベンドでも、キビキビした身のこなしを味わえる。ただし、コーナーからの脱出に際して踏み込むと、限界付近では前輪がエンジンの生み出すトルクをフルに路面に伝達するのが難しくなって、アンダーステアが顔を出すこともあった。そんな場合でも、スロットルを軽く閉じればノーズは内側に引き戻されるが。
ダンパーを強化した脚は、粗い路面ではショックの吸収が充分でなくなり、硬めの乗り心地を披露する。とはいえ、日常的に足として乗っても、充分許容範囲にはある乗り心地ではあるが。一方、前ベンチレーテッドディスク、後ドラムのブレーキは適正な制動力を備えている印象で、ワインディングを攻めても不安を感じることはなかった。