2016 JCCA Classic Car Festival New Year Meeting
2016.01.31
1月31日の日曜日、東京・お台場の青海臨時駐車場特設会場で『JCCA Classic Car Festival New Year Meeting』が開催された。我が国のクラシックカー愛好家にとって毎年1月の最終日曜日といえば『ニューイヤーミーティング』の日であることは常識ともいえる。日本クラシックカー協会(JCCA)が主催する、40年近い歴史を持つこのイベントは、旧いクルマを愛する同好の士の新年会のような意味合いを持ち、全国より多くのクラシックカーとそのオーナーやファン、そしてスペシャルショップが集まってくる。
多くのエントラントと観客で人だかりの会場を歩くとまず目に飛び込んでくるのは、日本全国からやってきた個人所有の展示車両。フリーマーケットでの参加車両も含めると約200台にも上る。その内容も昔懐かしい国産旧車や欧州のスポーツカーから稀少な戦前車といった趣味車はもちろん、実用に供され現存数の少ないバンやトラックなどの商用車までが並んでいるところに旧車趣味の奥の深さを感じさせられる。
さらにその奥には78ものカークラブがブースを並べるクラブスタンドが並ぶ。年代やカテゴリー、メイクスやモデルといった様々な括りで活動しているクラブは、同じクルマを愛する仲間であると共に、情報や部品などの旧車を維持していく上では欠かせない繋がりともいえるだろう。こちらにもマニアックなクルマやパーツ、そしてレトロなグッズが様々な趣向でディスプレイされており、非常に眼福であった。
そして全国のスペシャルショップが出店するオートジャンブルもまたこのイベントの楽しみのひとつだ。旧車をレストレーション、メンテナンスする上で欠かせないパーツやサービス、そして旧車趣味を彩るアイテムが並び、この会場だけのスペシャルプライスで手に入ったりもするので目が離せない。筆者も最近まで乗っていた’80年代マイナー日本車のアンチモニー製シガレットケースを発見し、ここぞとばかりに確保した。
今年のニューイヤーミーティングのメインフィーチャーは『ミツビシ』。ご存じの通り、現行の国内ラインナップは寂しい限りだが、我が国の自動車黎明期の1917年には初めての量産乗用車『三菱A型』を生み出し(正確には前身の三菱造船神戸造船所)、’60年代から参戦し続けた国際ラリーで自社製品のタフさと性能を示すことにより、コアなファンを持つメイクスでもある。
クラシックカーとしてのコンディションとオリジナル度の高さを競うコンクールデレガンスはニューイヤーミーティングの恒例行事である。今年はミツビシ車を対象として行われ、22台がエントリーした。審査は審査委員長の熊倉 重春さんを筆頭に伊東 和彦さん、上野 和秀さん、坂 和明さん、藤原 彦雄さんの5名の自動車評論家が担当した。自動車趣味、とりわけ旧車の世界ではマイノリティといえるミツビシではあるが、故に熱意あるユーザーが多く、今回受賞した5台のミツビシ車もいずれ劣らぬマニアックな個体とファナティックなオーナーたちであった。
昨今の『最新車に乗り換えることこそがエコ』というような世間の風潮や、旧車への罰則金ともいえるような高率の税金など、クラシックカー愛好家にとっては暮らしにくい時代ではあるが、一方で旧いものを大切にする『MOTTAINAI(もったいない)』という考え方や旧いクルマへの再評価といったムーブメントも盛り上がってきている。本イベントから感じられる熱量の高さは、我が国におけるクラシックカー文化が本物であることの証であるようにも感じられた。