試乗したモデルは最上級のMZだったので、ステアリング裏にシフトパドルが標準装備されていた。したがって、CVTをマニュアルモードにしてパドルを叩けば、ワインディングなどではメリハリの利いたドライビングを愉しむこともできる。

このクルマ、180mmの地上高を確保した上に前席で615mmという高めのピップポイントが設定されて、視界に優れたドライビングポジションを実現している。つまり、通常のコンパクトハッチバックより重心は高いはずだが、ハンドリングにその影響をストレートに感じることはなかった。

つまりイグニス、長尾峠や箱根スカイラインのワインディングでも腰高な印象を与えることなく、タイトコーナーの連続も適度なアンダーステアを維持したまま、軽快にこなしていく。上級モデルは175/60R16という充分なサイズのタイヤを履いていることも、その安心感に寄与しているはずだ。

その一方で、ボディサイズに対して若干大きめのタイヤが乗り心地に与える悪影響も、特に感じられなかった。フロントがストラット、リアがトーションビームのサスペンションはやや硬めの印象だが、乗り心地は路面を問わず良好だったといえる。

さらに、短時間ながらMZのフルタイム4WD仕様にも乗ったが、いい意味でも悪い意味でも4WDであることを特に意識させられることはなかった。強いていえば、リアサスペンションの形式の違いによる乗り心地の感触が若干異なっていたか、という程度だ。

実際、4WD仕様は同グレードの2WD仕様より車重も40kg重いだけだから、加速感にもその影響を明確に実感するほどの違いは感じられなかった。一方、JC08モード燃費に関していえば、MZの場合4WDは2WDの28.0km/ℓから25.4km/ℓに下がるとされる。

4WD仕様には、雪道などの滑り易い路面から走り出す際に確実な発進をサポートするグリップコントロールが備わる他、急坂を下る場合にスピードを7km/h以下に抑えるための自動ブレーキ、ヒルディセントコントロールも標準装備される。