ボルボXC90 T6 AWD Inscription
公開 : 2016.02.22 23:50 更新 : 2017.05.29 19:08
実際にXC90を目前にすると、まず印象的なのは、これもまたボルボ独自の世界観を演出したともいえる、エクステリアとインテリアのデザインだ。競争の激しいプレミアムSUVの世界では、ここ最近はいかにダイナミックな造形のボディをデザインするかが、その成否の鍵となっているようだが、ボルボのデザイナーは、あたかもそのトレンドに背を向けるかのように、端正なスタイリングを実現してみせた。派手さはないものの卓越した美しさが存在する、簡単に表現するのならばXC90とはそういうSUVだ。そしてこのデザイン・コンセプトは、S90、V90にも継承されているから、それが出揃った時の存在感は、日本市場でも相当に大きなものになるだろう。
インテリアはさらに感動的なフィニッシュだ。以前からボルボ車のキャビンは、北欧家具に包まれたかのような美しさ、そして機能性を持つことで知られていたが、それはこのXC90において極まったというのが実感。センターコンソール上のスタート・スイッチや、ドライブ・モードの選択スイッチには、ダイヤモンド・カットが採用され、さらにT8では、クリスタル製のシフト・レバーも備わるという。シートのデザインや座り心地も素晴らしい。前から2-3-2の7人乗りとなるXC90だが、サード・シートも、ボルボが身長で170cmまでのパッセンジャーを想定したというだけに、スペース的にも十分な余裕がある。またそれを必要としない時には、サード・シートの部分をラゲッジ・スペースとすることもできるから、実際の使い勝手は相当に期待できそうだ。
センター・コンソール上には、タブレットサイズの9インチ・タッチ・スクリーン式ディスプレイが備わり、ここで車両のさまざまな設定を行えるほか、ナビゲーションやインフォテイメント・システムとしての機能が統合されている。さらにボイス・コントロールの機能も持つXC90だが、短時間の試乗では、残念ながらその機能を正確に把握し、最大限にそれを活用することなどはできなかった。タッチ・スクリーンの使いやすさ、そして動きのスムーズさなどは、何とかそれを確認できたが。
最大トルクの40.8kg-mを、2200~5400rpmで完全フラットに発揮するT6エンジンは、その特性からも想像できるように、実用域ではどのようなエンジン・スピードからでも、滑らかな加速を実現してくれる。トップ・エンド付近でのレスポンスやパワーフィールも、このT6ならば相当にスポーティな印象。組み合わせられる8速ATのシフト制御は常にスムーズだが、個人的には低いギア、すなわち高速域を多用する制御となるダイナミック・モードよりも、デフォルトとなるコンフォート・モードでの走りの方が、XC90のキャラクターには合っているような印象を受けた。T6にはほかに、エコ、オフロード、インディビジュアルの各モードが用意されるが、エコモードは停止時のアイドリング・ストップ機能の強化やエアコンの最適化が行われるのみで、走りは基本的にはコンフォート・モードと変わらない。オフロード・モードでは、メーターパネルのデザインがXCモードとなることを確認したのみだったが、そもそもこのモードは20km/h以下のみで機能する。チャンスがあれば、本格的なオフロード走行を試したいところだ。