ベントレー・コンチネンタルGTスピード
公開 : 2012.10.11 19:29 更新 : 2017.05.29 19:03
■どんなクルマ?
史上最速のベントレーが、コンチネンタルGTスピードだ。そのエンジンは、リマッピングされたエンジン・マネージメント・ソフトウェアを持つツインターボの6.0リッターW12で、標準的な567bhpのW12およびV8にも装備されるZF製の8速オートマティックが組み合わせられる。エンジン・パワーは616bhp/6000rpm、81.6kg-m/2000rpm-5000rpmと、全体のGTスピードよりも16bhp、5.1kg-m多い値だ。
4WDシステムはフロント/リアが40/60で、サスペンションは10mm低くなり、固められたスプリングとブッシュ、アンチ・ロールバーが付けられる。また、4輪にはエア・サスペンションが取り付けられ、その乗り心地がコンフォートからスポーツまで可変となる。
0-100km/hは4.2秒で、0-160km/hは9.0秒、そしてトップスピードは330km/hに達する。一方、その燃費は6.8km/lだ。
■どんな感じ?
サスペンション・セッティングは、最もソフトな側からハードな側までそれほど大きな違いはなく、コンチネンタルのボディを上手く抑制する仕事をしてくれる。4WDシステムの効果は非常に高いのだが、W12のノーズの重さによってタイト・コーナーではさすがに鼻先がぶれてしまう。しかし、タイトなワインディング・ロードで動揺したり不快な思いをすることはない。ただ、そのサイズと重さを知ることになるだけだ。
ステアリングも、そういった状況を助けるために最善を尽くす。電気的アシストの入った速度可変式の重さのそれは、ハイ・スピードでハードな使用であっても満足いくレスポンスを持ち、どんなコーナーでも路面の状況をよく伝えてくれた。ところが、通常のロード・スピードだと、劇的に路面とのコンタクトを伝えなったのは驚きだ。しかし、それでも線形のレスポンスを持つため、通常の使用でも問題があるというものではない。
乗り心地は、英国の道をドライブすることで最終判断をしなければならないが、ミュンヘンのスムーズなアスファルトの上では、21インチという巨大なホイールにもかかわらず、落ち着きのある、そして吸収力のある感じがした。
おそらく、最大の売りはパワー・トレーンになる。まず最初に気付くのは、そのサウンドだ。シフトをSに入れ、スロットルを踏み込むと、W12サウンドがコクピットを包み込む。それは、ドライバーを励ます素晴らしく猛々しいサウンドである。しかし、そのシフトをDに入れると、一変してサウンドは静かになる。そして、著しく洗練された空間がもたらされるのだ。極く僅かな風の音と、ロード・ノイズが聞こえるだけといっても良いほどで、エンジン・ノイズも、穏やかで単調なものに聞こえてくる。
パワー・デリバリーは爆発的としか言いようがない。ウェットな路面でも、まるでアスファルトの上のようなスピードでストレートをかっ飛んでいく。8速のギアボックスはDモードにさえ入れておけば、基本的にドライバーの望むだけの仕事をしてくれる。そして、それは速く、本当に素晴らしい。SモードであってもDモードであっても、鋭いスロットル・レスポンスを示す。
さらに、オプションのΦ420のカーボン・セラミック・ブレーキは、適度な重さで確実な制動をもらたしてくれた。
■「買い」か?
現行のコンチネンタルGTが好みであるのならば、この新しいGTスピードは100%あなたの好みに合うだろう。サラウンド・サウンドに身を委ねている間も、このクルマは320km/hで進む事が可能だ。
われわれはコンチネンタルGTのファミリーの中で最高のオールラウンダーはV8モデルであると思っている。しかし、それほどピュアなハンドリングを望まず、むしろそのスピードを重視するのであれば、320km/hでクルージングできるGTスピードはおすすめだ。しかも、W12の感情に訴える楽しみは、そのプレミアム価格を十分に正当化するものであろう。
(ヴィッキー・パロット)
ベントレー・コンチネンタルGTスピード
価格 | 151,000ポンド(1,884万円) |
最高速度 | 330km/h |
0-100km/h加速 | 4.2秒 |
燃費 | 6.8km/l |
CO2排出量 | 338g/km |
乾燥重量 | 2320kg |
エンジン | W12気筒5998ccツインターボ |
最高出力 | 616bhp/6000rpm |
最大トルク | 81.6kg-m/2000rpm-5000rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |