ベントレー・ミュルザンヌはそのモデル構成を今までのミュルザンヌおよびミュルザンヌ・スピードという2モデルから、それぞれにエクステンテド・ホイールベースを加えた4モデル構成となった。また、リアに向かい合って座ることのできるシートが装備される6シーター・モデルも追加されるようだ。

今回施されたフェイスリフトは、メルセデス-マイバッハやロールス・ロイス・ファントムと対抗するミュルザンヌに、フレッシュでモダンなルックスと、「世界で最も優れた乗り心地」と豪語するシャシーに新しいテクノロジーを加えたものだ。

ベントレーのCEO、ウルフガング・デュルハイマーは、「ミュルザンヌはベントレーのDNAを引き継ぐモデルで、非常に美しく、個性的で、パワフルなモデル。それは自動車の世界でも最も贅沢を極めたモデルとも言える。」とコメントしている。

エンジンは、6.75ℓのV8で、512ps、104.0kg-mのパワー、トルクを持つ。ギアボックスはZF製の8速で、パフォーマンスは0-96km/h加速が5.1秒、最高速度は296km/hだ。燃費はこれまでの5.7km/ℓから向上し6.8km/ℓに、CO2排出量もこれまでの393g/kmから342g/kmに減った。

新しいシャシーは、アクティブ・エンジン・マウントを含む新しいハードウェアと、サスペンションのブッシュが見直されている。これは、ドライバーの好みで、ベントレー、スポーツ、コンフォート、カスタムの4つのモードにコントロール可能な乗り心地をより明確にするという。また、ダンロップと共同して開発されたタイヤは、4dBもロードノイズを低減させている。

エクステリア・デザインは、フェイスリフト前と大きな意味ではデザインは同一だが、リデザインした箇所は多岐にわたる。

Aピラーから前は、バンパー、ボンネット、ラジエーター、シェル、グリル、ライトなどがすべて一新されている。特にバーチカル・シートの貼られたグリルは80mmも左右に拡大され、フロントビューに際立った変化を与えている。一方、リアはバンパーのロワ・エッジが26mmほど拡大されている。これは、デザイン的にワイドなイメージを与えると共に、存在感を強調するためのものだ。

インテリアは最新式の8.0インチのタッチ・スクリーンを備えたインフォテインメント・システムが与えられ、ナビゲーションも最新式のものとなっている。このインフォテインメント・システムは、Apple Car PlayおよびAndroid Auto、Mirror Linkなどと連携が可能だ。更に、オーディオには60GBのハードディスクが装備される。そのオーディオは18スピーカーを持ち、2200Wのアンプとスーパー・ツイーターを有するもの。

リア・シートには2つの10.2インチのAndroidタブレットが装備され、4G、Wi-Fi、そしてブルートゥース接続が可能だ。このタブレットは、それぞれ別個にビデオ、音楽やナビゲーションを表示させることができる。

この他、シート、ドア・トリム、スイッチ・ギアなどが変更された。また、本革シートは24色から選べるというのは、このカテゴリーでもトップ・クラスだ。

トピックのひとつとしてエクステンテド・ホイールベースが追加されたことだ。中国、中東というアメリカに継ぐ2番目、3番目のマーケットに向けたモデルで、飛行機のファースト・クラスに匹敵するリクライニング・リア・シートを備えるモデル。リアのスペースは250mmほど拡大され、リアのコンパートメントもガラスでフロント・シートと隔離される。また、格納式のテーブルもオーダー可能で、専用のサンルーフも選択できる。

6シーター・バージョンについては対面式の4シーターをリアに持ち、ホイールベースが1メートル以上拡大されているということ以外、現時点では詳しい情報はない。このモデルは、ベントレー・グランド・リムジンとネーミングされ、スポークスマンもごく少量のオーダーだろうと話していた。

なお、通常のホイールべースとエクステンデッド・ホイールベースには、537ps、112.1kg-mの6.75ℓV8を搭載したミュルザンヌ・スピードが引き続き設定される。通常ボディで、0-96km/h加速が4.8秒、最高速度は306km/hとなる。ミュルザンヌ・スピードは、スタンダード・モデルに対し、21インチ・ホイールやダーク・フィニッシュされたエクステリア・クローム、異なるデザインのバンパー、そしてスポーツ・エグゾーストなどで区別できる。

価格はまだ発表されていない。また、グランド・リムジンの詳細もジュネーブ・モーターショーで発表されることになろう。