アルファ・ロメオ4Cスパイダー
公開 : 2016.02.24 23:50 更新 : 2017.05.29 18:24
■パフォーマンス
“前後重量の実測値は、フロントが40%、リアが60%であった” ― ニック・カケット(ロードテスター)
加速タイムを測定した際の路面状況はウエット。ローンチ・コントロールを立ちあげた0-100km/hタイムは4.5秒だった。ちなみにエキシージの0-97km/hタイムは4.1秒であった。
48km/hから113km/hに至るまでのタイムは、4Cスパイダーが4.0秒、エキシージが3.7秒、ポルシェ・ボクスターSが4.2秒。実に興味深い結果だ。
気筒数が4つだから、ライバルの2台に比べると耳から感じる感動は希薄だ。反面、ターボならではのシューシューといった音や、クラック音がその気にさせる。
ピーク・トルクは1700pmで発生する。35.7kg-mをいう数値は伊達じゃない。ただしターボ・ラグは少なからず看取される。また、低回転域のパワー感を期待するのであれば1700pmまで待たなければならない、という感覚が強い。
ギアボックスをオートマティック・モードに固定すると、変速は素早く進む。14.5km/ℓの燃費を確保しようとするからだ。また、時に変速に迷うことがある。
したがってマニュアル・モードの変速の方が、エンゲージしたいギアを直観的に選ぶことができる。この場合、機械側の反応もいい。
■乗り心地とハンドリング
“なめらかなサーキットならば、4Cの存在は輝く。ただし英国の道では不快でしかない” ― マット・プライヤー (ロードテストエディター)
この項目では、多くのテスターがあまりいい点数をつけないはずだ。なぜなら英国の一般道の劣悪な路面が影響するからである。
4Cがデビューした当時、多くのジャーナリストが喝采を送ったのも頷ける。これは、最初の試乗会はバロッコにあるアルファ自前のテスト・トラックで行われたからである。今回のテストのベースとなったのはMIRAサーキット。こちらも多少の勾配があるにせよ、アスファルトはスムーズにならされている。バロッコと同じようにたっぷりと楽しめる環境だ。
4Cの潜在的なハンドリング・バランスと、程よいグリップ、なめらかな路面という三拍子は、殊のほかドライバーの意思どおりに振る舞ってくれる。
ボディはタイトに向きを変える。初期にアンダーの傾向が看取されるが、修正がしやすいので、楽に軌道を戻すことができる。この路面ならばステアリングの重みにも違和感がない。ウエットだと、より軽くなるがこの際もナチュラル。嫌な振動もフィルタリングしてくれる。
問題が生じるのは一般道に差しかかってからだ。ステアリングは右に左にと引っ張られ、まっすぐ走るだけでドライバーはクタクタになってしまう。そもそも、ドライバーをエキサイトさせようという試みが伝わるやすいクルマだから、短距離の移動ならば許すことができるのだが……。
MIRAサーキットでテストを試みた際は、すべての路面が雨に覆われていたが、これが4Cにとって追い風となった。摩擦が少ないことで、腕力をあまり使わずに済む。1トンという車重に加え、エンジンをミド・マウントすることで、とてつもなく従順だと感じる。
前後配分が40:60ということと、前輪が小さいこと、さらにブレーキがよく効くおかげで、ターンインはかなり軽い。アンダーも予想がつきやすい。アクセルを試しに緩めてみると、リアがじわりと遊びはじめる。パワーをフルに引きだしたい場合、わずかなラグに悩むことになるが、楽しさは第一級である。