メルセデス・ベンツG350ブルーテック

公開 : 2012.10.12 18:08  更新 : 2017.05.13 12:52

■どんなクルマ?

生産33年目になる2013年モデルのメルセデス・ベンツG350ブルーテックだ。このGクラスは、軍用プロジェクトから生まれたクルマで、その姉妹モデルは今もなお世界中で活躍している。ミリタリー・バージョンは、現在でもオーストリアのグラツ工場でハンドビルドで造られる。ちなみに、昨年は、おおよそ5,500台のGクラスが生産され、そのうち100台は英国で販売されている。

そのラダーフレームは、4mmの分厚い鋼板で作成され、3つのエレクトリック・ディファレンシャル・ロックを装備し、十分なアプローチとデパーチャー・アングルを持つ。牽引能力は3500kgだ。

2013年モデルは、G350が82,000ポンド(1,030万円)、G63が123,000ポンド(1,547万円)、そしてG65 AMGは198,000ポンド(2,490万円)という価格が付けられている。

■どんな感じ?

2013年モデルのGクラスは、大きな変更が行われている。それはリデザインされたダッシュボードだ。インストルメント・クラスターとセンター・コンソールが一新され、7インチのモニターを持つメルセデスのiドライブ・コマンド・コントローラーが取り付けられた。それは、もうすぐ発表になるアップルのミニiPadがついているようなイメージだ。また、マルチファンクション・ステアリング・ホイールと温度調節のコントロールも新しくなっている。ダッシュボードは一新されたものの、そのスタイルはオジリナルからかけ離れたものになったというわけではない。

エクステリアでの変更は、折りたたみ式となったミラーと、LEDデイタイム・ランニング・ライトが付いたことだ。安全装備で言えば、正面および側面のエアバッグや、ESP、むち打ち防止のヘッドレストなどが標準装備となる。

その他の部分は、保守的なままだ。ドアは印象的な時代遅れのラッチを深くクリックすることで開く。運転席によじ登ると、ウインドスクリーンが近く、Aピラーが立っていることに驚きを感じるはずだ。しかし、電動シートと電動調整式のステアリング・ホイールのおかげで、ドライビング・ポジションは快適な姿勢を保つことができる。そして、ヘッドルームは広大とも言えるものがある。

ボンネットの下にタイトに積まれるV6ターボ・ディーゼルのサウンドは、非常に遠くから聞こえてくるようで、しかもその音質は金属的だ。

センター・コンソールにあるアルミのシフトレバーを持つ7速オートマティックは、手首の動きだけでドライブを選択できる。

G350は驚くほど素早いクルマだ。最新のドライブ・トレーンがクルマに驚くほど現代的な味をもたらす。その荒々しいスタイルと重さからは想像できないような、印象的なスピードを持っている。2級国道でコンテナ・ローリーを追い抜くのも迅速に行える。

非常に高く太いタイヤは、路面の継ぎ目は拾ってしまうものの、総じてその乗り心地は良く、ボディ・コントロールも注目に値するほど良好だ。リサーキュレーティング・ボールという前時代の遺物的な構造のステアリングのセットアップも良い。

G350をまっすぐ走らせるということは決して楽な作業ではない。大きなタイヤがキャンバーの変化に追従してしまうからだ。特に、サリー州の3級国道などを走る際には、通常より頻繁なステアリングの補整が必要だっだ。

しかし、Gクラスには驚くほどの魅力とも言える何かがあるのも事実だ。

その視界は驚くほど良い。そして、オフロードに入れば、その要求に適うだけのシャシー・パフォーマンスが発揮さえることになる。

■「買い」か?

Gクラスは、その大部分がハンドメイドかも知れないが、非常に高価なモデルだ。エントリーモデルであっても、レンジローバーよりも10,000ポンド(125万円)も高いのだ。しかし、高いだけの理由が、この保守的な作りと最新のメルセデス工学が融合したモデルにはある。

G350は紙では説明しきれない魅力がある。裕福なSUV購入予定者が実際にテスト・ドライブを経験するのであれば、1年で100台以上のモデルが英国で売れることは間違いないのだが。

(ヒルトン・ホロウェイ)

メルセデス・ベンツG350ブルーテック

価格 82,945ポンド(1,043万円)
最高速度 175km/h
0-100km/h加速 9.1秒
燃費 8.9km/l
CO2排出量 295g/km
乾燥重量 2570kg
エンジン V6気筒2987ccターボ・ディーゼル
最高出力 208bhp/3400rpm
最大トルク 55.2kg-m/1600rpm-2400rpm
ギアボックス 7速オートマティック

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