第41回 レトロモビル2016
2016.02.03〜07
レトロモビルのフランス車
ヒストリックカーのショーでは、どの国で開催されても、その国の国産車が台数的には最も多い主流派であり、パリのようなインターナショナルな都市でも、やはりそうだ。もとより、フランスにおける自動車の文化と歴史は厚みがあり、世界最高のヒストリックカー・ショーの開催地としてふさわしいとも言えるだろう。
そして、毎回、その歴史的に重要な断片を様々な角度から、見せてくれるのも、レトロモビルの大きな存在意義担っていると言える。ここでは富裕層相手の高額車料を扱うクルマ屋ばかりが主役ではない。
歴史上、消滅してしまった自動車メーカーはそれぞれの国でも数多く、フランスでもそうだが、今もなお、それぞれのワンメイク・クラブが存続して、活動を続けている。パナール、アミルカー、オチキス、ドラージュ、ドライエなど、今年もいくつかの失われた自動車メーカーの愛好家たちによるクラブ・ブースが健在であった。戦前に消滅してしまったメーカーの愛好家たちも高齢化問題があるようで、10万人を超える見学者の来訪があったとしても、平均年齢はかなり高いし、30歳未満の人たちはごく少数だっただろう。
しかし、実際にクルマを購入する層とは直結しているから、現役の自動車メーカーも力を入れて、自らの歴史の一部である名車たちを展示している。ルノー、パナール、シトロエン、それぞれが自動車の100年以上の歴史におけるエポックメイキングなクルマを作ってきたので、彼らの歴史的名車の数々を見るだけでも訪れる価値がある。
また今回は戦後に未来的なデザインで注目されたフィリップ・シャルボノーにスポットライトがあてられて、彼のデザインしたクルマの展示が評判を呼んでいた。毎年、新たな再発見ができるのも、レトロモビルならではの体験だ。