シトロエンC4 1.2ピュアテック130フレアー

公開 : 2016.03.11 23:40  更新 : 2021.03.05 21:44

■どんな感じ?

フレアーを直訳すると、‘才能’ あるいは ‘センスのよさ’ となるのだが、皮肉にも、才能やセンスのよさとはほど遠い。かつてのシトロエンのように興味がそそられないし、パッションを掻き立てることもない。シトロエンらしい、いい意味の風変わりな感じもない。

1.2ℓエンジンは、低い回転域からパワーを生みだすため発進直後は勢いがあるのだが、その後は息がつづかない。パワー・デリバリーはなめらかな一方で、エンジン音はうるさい。われわれのような向きには嬉しいのだが、一般的なファミリーにとっては単に耳障りだろう。

バンプを踏めば、足元はぐにゃりとよろめき、直後に車体がひょこひょこと暴れる。ボディ・ロールもライバルに比べると大きめだ。プッシュするとグリップの物足りなさに気づく。アンダーも強く、フィードバックも少ない。ステアリングの重みも速度に大きく依存する。

ギアボックスの操作感も常に引っ掛かりがあるし、ブレーキ・ペダルの踏み心地もぼんやりとしている。クラッチがミートするタイミングも慣れが必要だから、集中して運転できない。風切り音やタイヤ・ノイズは速度を出した時にしか目立たないが、特に粗い路面ではダッシュボードからはギシギシと音が聞こえてくる。

フロント・シート周辺は大きなステアリング・ホイールと、暗い雰囲気のカチコチのプラスティックが大部分を占めている。ダッシュボード上部にはいくらかのやわらかいマテリアルを組み合わせているが、特にリアルでもないし、空気感を底上げしているともいえない。

フレアー・グレードに標準の7.0インチ・タッチスクリーン・インフォテインメント・システムの設置位置は良好で、運転中も前方から大きく視線を逸らさずに済むのだが、解像度が高くない。それにレスポンスもよくない。お世辞にも最良のユニットとはいえない。

一方、シートの調整幅は大きく、フレアー・トリムにはランバー・サポートもついてくる。座り心地はとてもよく、体全体を包んでくれるクッション形状もいい。身長の高いユーザーでも頭上スペースには不満はないはずだ。ただ、トランスミッション・トンネルの背が高い。よって後部座席中央のパッセンジャーは文句をいうだろう。

トランク容量は同カテゴリーでも有数の競争力をもち、床はフラット、開口部も低い。フルサイズの鉄チン・スペア・ホイールが床下に収まることが理由であり、荷物を掛けるのに便利なフックがつくのも気が利いていると感じた。

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