ホンダNSX
公開 : 2016.03.15 23:50 更新 : 2017.05.29 19:09
3.5ℓV6ユニットの奏でるサウンドトラックには、奥深さがある。オリジナルのNSXほどソウルフルではないにせよ、ある種の濃密さを感じさせる色気のある音だ。バックファイヤーの音がやや意図的なのは否定しないが、電気モーターの高音に萎えることはない。
乗り心地は、2ステージの磁気粘性ダンパーによって決まるのだが、硬い方のセッティングでさえバンプや縁石からの衝撃をかなり柔軟にいなしてくれる。必然的にボディ・ムーブメントが大きくなるぶん、挙動に神経を集中させる必要がでてくるが、R8ほどではない。
a) 直線上でとてつもない速度をだすのが簡単
b) 絶大なコーナリング・フォース
という2点がNSXならではの長所。
先述のとおり、モーターの音こそ聞こえないが、たとえばターボが回り始めるまでのトルク・ギャップをモーターが埋め合わせているのはたしかだ。したがって、いかなる回転域でも力強い加速を得られる。
軽量かつ100ps以上パワフルなフェラーリ488 GTBほどではないのは当然だが、後方から聞こえるマフラーからの和音が、488 GTB同様に痺れさせてくれる。シフト・アップ/ダウンともに動作は素早く、ブレーキング時のダウンシフト後に電力が回転を素早く高めるのも歯切れがよく気持ちがいい。
ドライブトレインにもふんだんに新技術が投入されているが、たとえば回生システムを取り入れるバイ・ワイヤ方式のブレーキを踏んでいても違和感がない。すべての操作系の動作が極めて有機的に感じられる。いかにもデジタルな臭いがせず、いい意味でアナログなのだ。
ロック・トゥ・ロック1.9回転のステアリングもNSXのキャラクターに倣っている。ほとんどフェラーリと同じくらいクイックなのだがナーバスなところがまるでない。重すぎることも軽すぎることもなく、実に正確な印象をもたらしてくれる。