アストン・マーティンDB9
公開 : 2012.10.17 14:31 更新 : 2017.05.29 18:21
■どんなクルマ?
短命だったヴィラージュに代わるモデルであり、エントリー・レベルのV8ヴァンテージと、トップ・モデルのヴァンキッシュとの間を埋めるモデルがこのDB9である。そして、前モデルのDB9から大きな修正が行われた、この510bhp/6500rpmを誇るモデルには、131,995ポンド(1,680万円)のプライスタグが付けられている。
1785kgのDB9のパフォーマンスは、0-100km/hが4.6秒、トップ・スピードは295km/hである。前モデルよりもCO2エミッションは引き下げられ333g/kmとなった。そして、5935ccのV12エンジンのトルクは63.2kg-m/5500rpmにまで上げられている。
スタイルも大幅にアップグレードされた。あなたがヴィラージュをオーダーした1,100人のうちの一人でなければ、ヴィラージュの匂いを強く感じさせるそのデザインを歓迎するはずだ。
4輪ダブル・ウィッシュボーンのサスペンションは、3つの異なるモードを持つ。ノーマル、スポーツ、そしてトラックだ。そして、カーボン・セラミックス・ブレーキはヴィラージュ同様に標準装備となる。カーボン・セラミックス・ブレーキの採用は、制動パフォーマンスが改善されたことはもちろんだが、バネ下重量の軽減にも役立ている。この装備だけでも、前モデルよりも価格がジャンプアップしたことの理由となろう。
■どんな感じ?
前モデルよりも高価になったものの、本当に素晴らしい出来といえる。実際、新しいDB9は、熱心なアストン・マーティンのセールスマンが、トップ・モデルのヴァンキッシュとの違いを説明するのに苦労するぐらいだ。
大きく改善された510bhpのV12エンジンは、そのサウンドも立派だが、ミッド・レンジで機敏さが増した感じがする。そして、そのステアリング、ハンドリング、乗り心地とブレーキは、ヴィラージュとの大きな違いを見つけ出すのが難しいほどアップグレードされている。とりわけ、ブレーキは顕著だ。
ただし、その乗り心地は細かなことを言えば、3つのモードのうちどのモードにあろうとも、ヴァンキッシュより柔らかく洗練されたフィーリングだ。ヴァンキッシュがスポーツカーなのに対し、DB9はGTカーといった感じがする。
実際、ノーマル・モードやスポーツ・モードでは、そのエンジン・サウンドも静かで、レスポンスもジェントルだ。しかし、トラック・モードにすると、スロットルの反応は2倍ぐらいキビキビとしたものとなり、ギアチェンジ・レスポンスも活発となる。DB9にはマニュアル・ギアボックスがオプションでも用意されていないが、6速のパドル・シフトが良くマッティングしている。そのパフォーマンスを味わってしまえば、おそらく、3ペダルを望む顧客はいないのではないだろうか。
■「買い」か?
2004年に登場したVHエンジニアリングのシステムを使用し続けてきたDB9は、ベースとなるシステムの古さに苦しめられてきた。しかし、新しいDB9は、高価なヴァンキッシュと同じ、4代目となるVHシステムを採用したことによって、まだこのシステムが生きながらえるだけのものをもっているということを証明してみせたのだ。
(スティーブ・サトクリフ)
アストン・マーティンDB9
価格 | 131,995ポンド(1,680万円) |
最高速度 | 295km/h |
0-100km/h加速 | 4.6秒 |
燃費 | 7.0km/l |
CO2排出量 | 333g/km |
乾燥重量 | 1785kg |
エンジン | V型12気筒5935cc |
最高出力 | 510bhp/6500rpm |
最大トルク | 63.2kg-m/5500rpm |
ギアボックス | 6速オートマティック |