■どんなクルマ?

エンジン設計やシャシー設計のモジュール化は時代の趨勢であり、設計や製造の効率化では欠かせない要点になりつつある。新たな価値感の発生による市場の多様化を考えれば多品種戦略は避けられず、モジュール化設計は多様化戦略の必須要件でもある。

と言うわけでS60 T6 AWD R-デザインなのである。XC90ではプラットフォームにもモジュール化設計を取り入れたSPAを採用しているが、2010年デビューのS60の車体設計は従来手法。最先端のモジュール化設計が導入されているのはパワートレインである。

ボルボではドライブ-Eと呼ばれているが、このエンジン群はディーゼルも含めてシリンダー・ブロックやヘッド周りの基本設計の共用化を進めたのが特徴。新型T6が搭載するエンジンはハイブリッドを除いたガソリン系ドライブ-Eのトップエンドに位置。排気量やエンジン基部の設計はT4に準じているが、ターボとスーパーチャージャーの二つの過給器を用いて、2ℓ4気筒から従来のT6が搭載する3ℓ直6ターボと同等のパワーを引き出し、しかもJC08燃費は8.5km/ℓから13.6km/ℓへと劇的に改善されている。

欧州車ではベンツCクラスやBMW3シリーズ同様に中堅に位置するプレミアム・セダンのS60。その最上級モデルにして最高性能車となるのがT6 AWD R-デザイン。そこにクラス・トップレベルの省燃費性能が加わったのだ。

■どんな感じ?

高精度な回転体が高速で回っているような重質なエンジン・フィールは直6の魅力のひとつ。4気筒の採用により、それが失われたのは否定できない。しかし、その損失は最小限と言っていいだろう。