ボルボS60 T6 AWD R-デザイン
公開 : 2016.03.17 23:55 更新 : 2017.05.29 19:08
2ℓ系ドライブ-Eにはクランク周りの振動を抑制するバランスシャフトが採用されているが、T6はその中でも振動の少なさや重質な回転感覚が強い。スーパーチャージャーの影響も考えられるが、燃焼のパルス感は4気筒なのにエンジン・フィール全体では直6的な味もあり、走りの質感では4気筒のハンデをほとんど感じない。
しかも、余力感は直6を大きく上回っている。浅いスロットル開度の小さな踏み増しでも間髪入れず反応する。
尋ねればスーパーチャージャーとターボのレイアウトは直列配置とのこと。つまり、エンジン/スーパーチャージャー/ターボの順番である。一次をターボ、二次をスーパーチャージャーで行う2段過給というわけだ。言い方を換えるなら、2ℓエンジン+スーパーチャージャーで3ℓ相当とし、そこにターボ過給しているようなもの。低回転低負荷領域から力強い加速を示すのも納得だ。
なお、3500rpm以上ではスーパーチャージャーをバイパスし、ターボのみの過給となる。試しにマニュアル変速で加速し、切り換え領域での違和感がないかチェックしたが、4000rpmを超えてもトルク・フィールに不自然さはなかった。と言うより、公道で走らせてその領域で加速させることはほとんどない。
ふつうに走らせていれば、8速ATはエンジン回転数を2000rpm以下に変速制御する。ノーマル・モードでも程よく回転を抑えて、大排気量車的余力をを示すが、エコ・プラスモードではさらに低回転の使用域が拡大。速度低下により1500rpmを下回ってからの再加速でもダウンシフトを堪える設定。緩加速なら1300rpmくらいでも引っ張りきる。力感も直6時代から向上している。
また、エコ・プラスモード走行時はコースティング機能が作動するのも見逃せない。緩やかなペダル戻しでスロットル・オフ状態になるとミッションを中立にし、エンジンをアイドリングさせた空走状態に移行する。穏やかな速度コントロールを行っている時はエンブレさえ減速しすぎることもよくあるが、コースティングで加速-減速の中間域を用いた速度制御も容易。実用燃費向上に一役買っている。なお、ブレーキング時及びその後のペダルオフではエンブレが効くように制御されているので、運転感覚面で不具合を感じることもなかった。