ボナムス・グッドウッド73rd.メンバーズ・ミーティング・オークション

●2016.03.20 グッドウッド／チチェスター／イギリス

3月のボナムスは大忙しだ。10日にアメリアアイランド、次の週末の19日はシュツットガルトでメルセデス・ベンツ・セールをこなし、翌日はグッドウッドでオークションと、多忙な月となった。

 
グッドウッドで開かれるオークションは、以前は6月のフェスティバル・オブ・スピードと9月のリヴァイヴァルの2回だけだったが、近年になってメンバーズ・ミーティングの開催に合わせて開かれるようになった。

イギリスのエンスージァストが集まるイベントに併催されるオークションだけに、まさにクルマ趣味の縮図といった様相となった。１億円超えの特上クラスから数十万円のベイシックカーまでの93台が用意された。20万ポンド(3240万円)以上で落札されたのは6台のみで、イギリスのマニア向けオークションだけに、1万ポンド（162万円）以下で12台が落札されているフレンドリーな面もある。

高額で落札されたのは1955年型メルセデス・ベンツ 300SL ガルウイングの1億3633万円を筆頭に、1929年型ベントレー 4 1/2ℓ ツアラー(5196万円)、1924年型ロールス・ロイス 40/50HP シルバーゴースト・カブリオレ(4289万円)、2005年型フォードGT(3654万円)、1929年型ベントレー 6 1/2ℓ スピードシックス・ツアラー・プロジェクト(3327万円)、2009年型メルセデス・ベンツ SL65 AMG ブラック・シリーズ(3291万円)と続き、このオークションの特徴を良く表していた。

全体的に見てゆくと、最近の傾向どおり価値のあるものは高く、マニア受けしない普通のクルマや、絶対的に数のあるクルマは流れることが多い。

ここで人気を集めたのが、1958年型オースチン・ヒーレー 100/6 ラリーカーで、ドン・グリムショーが1962年と1965 年のモンテ・カルロ、1965年のサファリ、 1965 スパ・ソフィアの各ラリーを闘ったヒストリーを持つことから2565万円まで値を上げた。このほか1977年型ヴォクゾール・フィレンツァ・マグナム 2300 クーペは、当時ディーラー・チームがレースで活躍したマシンだけで、素晴らしいヒストリーを備えることから1513万円を記録した。

このほか注目集めたのは1999年型ロータス・エリーゼ S1だ。倉庫に隠されていた新車で、走行83マイルということから373万円まで上昇した。同様に1992年型フォード・エスコート RS コスワースは、走行2494マイルから1095万円の値を付けた。このエスコートを含めRS200、シエラ・サファイア・コスワースと歴代のホモロゲ・モデルが揃った。

ここにきて911ナロー・バブルは落ち着いてきたようで、本命の”S”は現在も高値をキープしているが、低グレードは相応の評価になっている。つられて上がった912も、現実的な額で落札されている。

鉄板だったフェラーリも弱くなってきており、512TRは1839万円、人気上昇中の308ヴェトロレジーナは程度がいまいちだったこともあり1839万円に留まった。

人気のアルピーヌA110が安く終わっているが、この個体はスペイン製で、1300VCに相当するグレードだったため597万円と低調だった。ほとんど出てこないフィアット・アバルト 2300S クーペは地味な存在のためか流れてしまい、人気の1000TCコルサはコンプリートカーだったがエンジンがアウトビアンキA112に換装されていたため、こちらも流れている。

またマニアックなオークションという意味合いを持つだけに、1万ポンド以下のお値頃なクルマもあり、ヴィンテージ、ポスト・ヴィンテージ期のモデルでもイメージするより安い額で入手することができる。オースチン・ヒーレー・スプライトやMG B、ロータス・エランは高騰の影響を受けず、以前と変わらぬ価格帯にある。

ここではボナムス・グッドウッド73rd.メンバーズ・ミーティング・オークションに出品された主な車両をご紹介しよう。