■どんな感じ?

最初に乗ったのはV6搭載のラグジュアリー・モデル、35t Portfolioだった。センターにタッチパネル式の横長ディスプレイを配したダッシュボードは、機能的にしてクラス相応の豪華さと上質感が備わっているが、ディスプレイ横からサイドに流れるフィニッシャーがウッドではなく独特の仕上げが施されたアルミパネルであるところに、若干の違和感を持つ御仁もいるのではないだろうか。実は僕もその一人だが。

けれども走り出してみると、そういった細かいことはほとんど気にならなくなる。まずボディ剛性が充分なのに加えて、サスペンションが基本的にしなやかな印象で、乗り心地が硬すぎず快適であるところがジャガー・サルーンの伝統に恥じない。

ただしV6モデルは19インチのタイヤが標準になるため、不整路では若干バネ下の重さを実感することがある。とはいっても運転席では特に気になるレベルではないが、リア・シートに座った編集者によると、場面によっては若干突き上げを感じるという。

340psと450Nmを発生するスーパーチャージド3ℓV6が生み出す動力性能は活気があり、踏み込むと少々意外なほどのボリュームで心地好い唸りを上げて、1830㎏のボディを力強く加速させていく。8段ATはDレンジのままでスムーズな加速を振る舞ってくれるのに加えて、任意にシフトダウンしたときに駆使するパドルの反応も上々である。

つまりスーパーチャージャーで過給した3ℓV6は、Eセグメントのスポーティなサルーンに相応しいパワーユニットだといえるが、ではターボで過給した2ℓ直4によるパフォーマンスが物足りないかというと、断じてそうではない。