ジャガーF-PACE S

公開 : 2016.04.06 23:50  更新 : 2017.05.29 18:37

そう感じさせる、もうひとつの要因はステア・フィールにもある。鼻先は歯切れよく向きを変え、反応はあくまで正確。手元に伝わる感覚はなめらかでロック・トゥ・ロック2.5ターンのギアリングも絶妙である。

可変ダンパーをスタンダード・モードにしても、ボディはタイトにコントロールできるから、メーターが赤基調のモードに変わればなおさらクイックになる。それにこのモードでも、乗り心地を損なうほどではない。

静粛性も加点ポイント。20インチのホイールが標準となるにもかかわらず255/50とサイド・ウォールが厚い。22インチでさえ100mmのサイド・ウォールが確保されており、当たりに硬質さを伴わない。

一般道を主戦場とするSUVにとって、ハンドリングが1番触れられたくないところだが、ポルシェ・マカンよりもベターだと私は確信している。

20dほど軽やかではないが、V6エンジンは積極的に上へ回ろうとするし、コーナー中腹で、下半身がよろめくことはなく、後輪駆動のクルマをドライブする感覚が強い。内側の車輪がスピンすることもなかった。

■「買い」か?

このクラスのなかで、もっともスムーズに速く走るクルマがほしいのであれば、F-PACE Sが適役だろう。いかなる速度域でもリラックスしてドライブできるうえ、ハンドルを握っていて楽しい気持ちになれる。自分の肌にあったリズムや流れをつかみやすいクルマはF-PACE以外にも見当たらず、ウェールズの代表的な峠道でも顎をだすことはなかった。ステア・レスポンスはピュアで歯切れがいい。安定感も抜群である。

端的にいえばジャガーの乗り味そのものであり、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツとレンジローバー・イヴォークをつなぐ架け橋にもなる。‘S’ または ‘スポーツ’ という言葉がSUVに似合うようになった。なかでも3.0ℓV6エンジンは燃料をもっとも消費しCO2排出量がもっとも多いのだが、運転してたのしい背の高いクルマを求める場合、F-PACEあるいはポルシェ・マカンが最有力候補となるだろう。

ジャガーF-PACE S

価格 £51,450(805万円)
最高速度 249km/h
0-97km/h加速 5.1秒
燃費 11.2km/ℓ
CO2排出量 209g/km
乾燥重量 1861kg
エンジン V型6気筒2995ccスーパーチャージャー
最高出力 380ps/6500rpm
最大トルク 44.2kg-m/4500rpm
ギアボックス 8速オートマティック


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