2016年3月 自動車販売台数ランキング
2016.04.07
新車販売の前年割れは15カ月連続に到達。軽自動車は前年比2桁減
景気動向指数の悪化が示すように、日本での新車販売は苦境が続いている。自動車業界団体がまとめた2016年3月の全体での国内新車販売は、前年同月比8.6%減の63万5892台と15カ月連続でのマイナスを記録。カテゴリー別では、登録車が同3.2%減の40万4813台と2カ月連続で減少し、軽自動車は同16.7%減の23万1079台と15カ月連続での前年割れとなった。市況に関して業界団体の関係者は「リーマンショックと東日本大震災があった直後の3月に次ぐ低い水準となってしまった。市場におけるクルマの消費マインドは、相当に冷え込んでいる模様」と分析。今後については、「軽自動車は昨年4月の増税を契機に販売減となったため、今後のマイナス幅は縮みそう。ただし、販売回復への好材料はなかなか見えてこず、一昨年の水準に戻るのは難しい。一方で登録車はプリウスなどの新型車を中心に受注が堅調なので、プラスに転じる可能性はある」と予測した。
車名別ランキングでは、新型に移行したトヨタ・プリウスが前年同月比69.0%増の3万1434台のセールスを記録して4カ月連続での首位につく。続く第2位には1つ順位を上げたホンダN-BOXが位置。第3位には同23.3%減ながら2ランクアップを果たしたトヨタ・アクアが入った。トップ10を一覧すると、登録車が5車種で残り5車種が軽自動車。この比率になるのは、2カ月ぶりである。また、トップ10のうち前年比プラスを達成したのはプリウスとトヨタ・シエンタの2車種のみで、残りの8車種は前年割れ、しかも軽自動車5車種はすべて2桁減という厳しい結果となってしまった。
話題の新型車の成績も見ておこう。昨年12月にワークスを追加したスズキ・アルトは同11.7%減にとどめて第7位にランクイン。昨年7月に新型に切り替わったトヨタ・シエンタは同557.3%の大幅増を達成して第9位に位置する。ハイブリッドモデルの販売が堅調なトヨタ・カローラは同22.2%増で第12位に、1月にToyota Safety Sense Cの設定など一部改良を行ったトヨタ・ヴォクシーは同12.8%増で第13位に、昨年12月にエマージェンシーブレーキを全車標準装備化するなどのマイナーチェンジを図った日産エクストレイルは同6.8%増で第20位に入った。また、2月にハイブリッドモデルを追加したホンダ・オデッセイは発売1カ月の受注が月販目標の4倍以上(9000台超)に達し、3月のセールスも前年同月比で59.7%増を成し遂げた。
メーカー | モデル | 台数 | |
1 | トヨタ | プリウス | 31,434 |
2 | トヨタ | アクア | 23,314 |
3 | ホンダ | フィット | 15,545 |
4 | 日産 | ノート | 13,684 |
5 | トヨタ | シエンタ | 12,890 |
6 | トヨタ | カローラ | 11,317 |
7 | トヨタ | ヴォクシー | 10,763 |
8 | トヨタ | ヴィッツ | 9,814 |
9 | ホンダ | ヴェゼル | 8,969 |
10 | 日産 | エクストレイル | 8,447 |
11 | マツダ | デミオ | 7,601 |
12 | 日産 | セレナ | 7,565 |
13 | ホンダ | ステップワゴン | 7,173 |
14 | トヨタ | ノア | 6,715 |
15 | トヨタ | エスクァイア | 6,179 |
16 | トヨタ | クラウン | 5,310 |
17 | トヨタ | パッソ | 5,272 |
18 | ホンダ | シャトル | 5,243 |
19 | スズキ | ソリオ | 5,073 |
20 | トヨタ | ヴェルファイア | 5,005 |
21 | トヨタ | ハリアー | 4,822 |
22 | ホンダ | オデッセイ | 4,757 |
23 | ホンダ | フリード | 4,632 |
24 | スバル | インプレッサ | 4,470 |
25 | トヨタ | アルファード | 4,024 |
26 | スバル | フォレスター | 3,858 |
27 | トヨタ | スペイド | 3,093 |
28 | マツダ | アクセラ | 3,090 |
29 | マツダ | CX-5 | 2,991 |
30 | スズキ | スイフト | 2,802 |
輸入車の新規登録台数は7カ月連続で前年割れ。VWグループは苦戦が続く
輸入車の新車販売も低迷が続く。3月の外国メーカー車の新規登録台数は前年同月比7.0%減の3万7069台と、7カ月連続でのマイナス。日本メーカー車含ではトヨタやスズキ、ホンダなどが健闘したものの同3.0%減の4万3858台にとどまった。登録車に占める輸入車の割合は、国内新車が振るわなかったこともあり、3月単月では過去2番目に高い9.2%に達する。市場動向についてJAIA関係者は、「フォルクスワーゲンと同グループのアウディは排出ガス不正問題の影響でブランドイメージが低下し、2桁減が続いている。新型車販売が一巡したメルセデス・ベンツも伸び悩んだ。価格帯では400万円以上の車種が回復傾向にある一方、販売の中心を占める400万円未満は低調のまま推移している」と解説した。
外国メーカーのブランド別成績では、前年同月比5.2%減ながら8540台の新規登録を記録したメルセデス・ベンツが首位をキープする。第2位には同1.0%の微減(6516台)にとどめて1ランクアップを果たしたBMWが位置。第3位には同26.6%減(6513台)のフォルクスワーゲンが、第4位には同20.5%減(3183台)のアウディが入った。
ドイツ四強以外では、BMWミニが同12.9%増(3080台)、ジープが同23.2%増(1036台)、プジョーが同25.9%増(1071台)、フィアットが同35.3%増(882台)、スマートが同3125.0%増(516台)、ジャガーが同154.0%増(348台)、シトロエンから分離したDSが同15.0%増(169台)の好セールスを達成。また、VWグループのポルシェは同25.0%減(542台)と再びマイナスに落ち込む。日本市場からの年内撤退が予定されるフォードは、同45.1%の大幅減(341台)となった。
メーカー | 3月 | 2016年累計 | |
1 | Mercedes-Benz | 8,540 | 17,666 |
2 | VW | 6,513 | 13,591 |
3 | BMW | 6,516 | 12,853 |
4 | Audi | 3,183 | 6,741 |
5 | Nissan | 2,490 | 6,083 |
6 | BMW MINI | 3,080 | 6,010 |
7 | Toyota | 1,805 | 4,096 |
8 | Volvo | 1,697 | 3,763 |
9 | Suzuki | 1,428 | 2,302 |
10 | Jeep | 1,036 | 2,125 |
11 | Peugeot | 1,071 | 2,036 |
12 | Fiat | 882 | 1,892 |
13 | Porsche | 542 | 1,566 |
14 | Renault | 794 | 1,552 |
15 | Mitsubishi | 679 | 1,413 |
16 | smart | 516 | 1,359 |
17 | Land Rover | 474 | 980 |
18 | Ford | 348 | 776 |
19 | Honda | 387 | 731 |
20 | Jaguar | 348 | 690 |
21 | Alfa Romeo | 269 | 541 |
22 | Citroen | 254 | 499 |
23 | ABARTH | 166 | 371 |
24 | DS | 169 | 303 |
25 | Maserati | 156 | 290 |
26 | Cadillac | 67 | 198 |
27 | Chevrolet | 59 | 137 |
28 | Ferrari | 45 | 128 |
29 | BMW Alpina | 37 | 115 |
30 | Chrysler | 48 | 100 |
31 | Lamborghini | 40 | 90 |
32 | Bentley | 29 | 86 |
33 | Lotus | 26 | 70 |
34 | Dodge | 25 | 60 |
35 | Aston Martin | 18 | 48 |
36 | Rolls Royce | 19 | 46 |
37 | Hyundai | 11 | 45 |
38 | Scania | 15 | 32 |
39 | Mclaren | 15 | 29 |
40 | Rover | 4 | 8 |
41 | GMC | 5 | 7 |
42 | Hummer | 3 | 4 |
43 | Lancia | 1 | 4 |
44 | Unimog | 0 | 3 |
45 | Autobianchi | 0 | 2 |
46 | Buick | 2 | 2 |
47 | MG | 0 | 2 |
48 | Morgan | 2 | 2 |
49 | Bugatti | 1 | 1 |
50 | Detomaso | 1 | 1 |
51 | Others | 42 | 95 |
合計 | 43,858 | 91,545 |
2015年度の新車販売は4年ぶりに500万台割れを記録
最後に、2015年度(2015年4月〜2016年3月)の新車販売成績を振り返っておこう。自動車業界団体がまとめた2015年度の全体での国内新車販売は、前年比6.8%減の493万7637台と2年連続で前年実績を下回り、しかも4年ぶりに500万台を割り込んだ。カテゴリー別では登録車がほぼ横ばいの312万4406台となり、軽自動車は同16.6%減の181万3231台に低迷した。車種別では、トヨタ・アクアが4年連続での首位を達成。続く第2位にはホンダN-BOX、第3位にはトヨタ・プリウスが入った。上位10車種のうち軽自動車が6車種で、登録車は4車種。前年比を超えたのは、プリウス(0.9%増)とカローラ(7.5%増)の2車種にとどまった。
一方、輸入車の2015年度新規登録台数は、外国メーカー車が前年比0.1%増の28万2079台、日本メーカー車が同5.2%増の4万4509台、全体で同0.8%増の32万6588台と、いずれも微少ながら前年度を上回る。また、登録車に占める輸入車のシェアは9.0%と、過去最高の水準をキープした。ブランド別成績では、メルセデス・ベンツが同3.5%増を記録して16年ぶりのトップに返り咲く。続く第2位には排出ガス不正問題の余波で同19.4%減と失速したフォルクスワーゲンが位置。第3位には同8.8%増のBMWが、第4位には同9.9%減のアウディがランクインした。