アストン マーティン、2020年までに5モデルをリリース
公開 : 2016.04.08 22:30 更新 : 2017.06.01 01:34
アストン マーティンは2020年までの4年間で、最近公開されたDB11を含み、最低でも5つのモデルをリリースするとしている。主に3つに分けられるモデル・ラインで、2020年までに7,000台/1年にまでその生産量を拡大することを目論んでいる。
DB11はジュネーブ・モーターショーで発表されたばかりのモデルで、ファースト・デリバリーは夏を予定している。
来年登場するのは、新しいヴォランテだ。これはジェームス・ボンドの映画、スペクターの劇中車として造られたDB10に強くインスピレーションを受けたモデルとなる。また、ヴァンキッシュも2018年の登場を予定している。
この2台は、アストン マーティンの中心的なGTモデルで、DB11に使用された新しいアルミニウム・アーキテクチャーをベースに造られる。
2020年末までにアストン マーティンは2つの新しいモデルを登場させる。DBXクロスオーバーと、ラゴンダ・サルーンだ。特に、DBXはアストン マーティン初のクロスオーバーとしてそのセールスが期待されるモデルである。
この他、毎年2台ずつ特別なモデルも制作する予定。直近の例としてはバルカンやヴァンテージGT12が挙げられる。
更に、トピックとしては2018年にアストン マーティン初のEVとなるラピード・ラルーンも加わる予定。
これら計画はCEO、アンディ・パーマーの立案だ。パーマーは日産で副社長を勤めた後、2014年にアストン マーティンのCEOに就いた経歴を持つ。
ヴァンテージ
DB11が新世代のアストン マーティンの第1弾だが、その第2弾として来年秋にヴァンテージが刷新される。
ジュネーブ・モーターショーの会場でパーマーはAUTOCARに既にデザインは最終決定したと話しており、DB10やDBXの要素を採り入れたクルマになるという。また、アストン マーティンのそれぞれのモデルに、異なる個性を持たせるようにデザイン責任者のマレック・ライヒマンに指示を出したという。
そのため、第2世代のヴァンテージよりも、よりスポーティなデザインが与えられるという。
ライヒマンによれば「金太郎飴のようなアストン マーティンのデザインは捨て去った。」と言い、「新しいアストン マーティン各車は、77歳になる私の母親でも区別がつくデザインになる。」としている。また、「DB11は長距離を快適に走るためのGTモデルだが、ヴァンテージはウィークエンド・レーサーのための非常に刺々しいサーキットにフォーカスしたモデルになる。」と語った。
更に、ライヒマンは、ヴァンテージとDB11はボディ・パネルを共有することもなく完全に異なったデザインになるとし、そのデザイン言語はDB10から引き継がれたものになるとしている。
もうひとりのアストン マーティンの関係者は、DB11が立ち止まってその美しさを眺めたくなるクルマとすれば、ヴァンテージはステアリングを握りたくなるクルマであると語った。
新しいヴァンテージは、DB11のリベットと接着されたアルミニウム・アーキテクチャーのショート・ホイールベース・バージョンを使用し、ゲイドンの本部で生産が行なわれる予定。とはいうものの、現行モデルよりも若干ホイールベースは長くなり、サイズも長く、広く、低くなるようだ。
インテリアはDB11をベースとしながらも、スポーティなキャビンに生まれ変わる。
また、そのパワーユニットにはメルセデス-AMGの製造する4.0ℓV8ツインターボが搭載される。AMG製パワーユニットを搭載する最初のアストン マーティンとなる。この4.0ℓバージョンには2つのチューニングが設定される模様。ベース・モデルの406psと、Sモデルの456psという2つの仕様。
更に5.2ℓV12ツインターボ・ユニット搭載モデルもヴァンテージのトップ・エンド・モデルとして設定される。
現時点でDB11に何故AMG製V8が搭載されないのか疑問が残るが、CO2を重視する市場向けに、追加されることが考えられる。
「ヴァンテージはV8を搭載するために設計された完璧なクルマだ。DB11がV12を搭載されてリリースされたのとは異なる。」とパーマーは語っている。
また、ヴァンテージは6速マニュアルだけの設定で、駆動方式もRWDオンリーとなる予定。ちなみに、DB11はオプションとして8速オートマティックが設定されている。また、パーマー自身はデュアル・クラッチが好きではないようだ。
ヴァンテージは、2018年から2019年にデビューが予定されている新しいル・マン・レーサーのベースともなる予定。
ヴァンキッシュ
ヴァンテージに次いで、2018年に登場するのが新しいヴァンキッシュだ。まだ、パーマー自身が、ヴァンキッシュをDB11をよりGTライクにしたモデルにするか、純粋なスーパーカーにするかを決めかねている。
どちらにせよ、新しいヴァンキッシュは現行のDB11に搭載されているV12ユニットをより強力にスープアップしたエンジンが搭載される予定。760ps前後のパワーで、フェラーリF12 tdfに真っ向から対抗するものとなる。
とは言うものも、巨大なパワーを出すことがヴァンキッシュの最終ターゲットではない。また、ギアボックスがどれだけのトルクに耐えうるかも問題として残っている。
ラピードE
ヴァンキッシュのデビューと時を前後して、ラピードのEVモデルであるラピードEが登場する予定。メルセデスや他のメーカーからEV技術の提供を受けることなく、アストン マーティンは中国のテクノロジー・カンパニー、Letvとのジョイントを選んだのも特徴だ。
「われわれはモーターやバッテリーについて学ばなければならい。そのためにLetvと組むことを選択した。」と、パーマーは語っている。
このテクノロジーは、将来的にカリフォルニアなど低エミッションが重視される市場に、ハイブリッド・モデルを投入するためにも必要なこと。パーマー自身も、ハイブリッド化は不可避であると認めている。
ラピードは、EVのみの設定となる模様。旧いVHアーキテクチャーをベースとしたモデルで、ラピードEの終了と共に、ラピード自体もモデルとしての終焉を迎えることになる。
新しいアストン マーティンのサルーンとしての役割は生まれ変わったラゴンダに引き継がれることになる。
DBXクロスオーバー
DB11、ヴァンテージ、ヴァンキッシュ、そしてそのコンバーチブル・バージョンなど、アストン マーティンのメイン・ストリームは、GTおよびスポーツカーであることは暫く変わりないが、2018年から2020年の間に登場を予定しているDBXによりアストン マーティンのメイン・ストリームは変わることになるかもしれない。
DBXはウェールズに建設される新しい工場で生産されるクロスオーバーで、そのアーキテクチャーはアストン マーティン製だが、DB11のものととは異なる。
「アルミニウムを接着する技術を使用するということを決定した。」とパーマー。つまり、アーキテクチャーはDB11と別だが、その技術は同一という。
DB11とDBXが、今後のアストン マーティンを支える重要なモデルになるということだ。
まずアストン マーティンはDB11で一発目のパンチを繰り出し、二発目のパンチとしてDBXを世に送り出す。そして三発目のパンチがラゴンダ・サルーンだ。
ラゴンダ・サルーン
アストン マーティンは、昨年デビューしたランゴダ・タラフで、懐かしいラゴンダのブランドを復活させた。このタラフは、当初中東向けの限定モデルの予定だったが、最終的に200台の受注を獲得し、2017年末までに生産が終了する予定だ。
このタラフの後を継ぐ新生 “ラゴンダ” が2020年、もしくは2021年に登場する予定だ。
新しい4ドア・サルーンであるラゴンダには、DB11から派生したアーキテクチャーが使用されることになる。つまり、アストン マーディンは、GT & スポーツ、DBXクロスオーバー、そしてラゴンダ・サルーン用という3つのプラットフォームを持つことになる。
タラフのリリースに際して、パーマーは、「われわれは2020年から2021年を目安に、ブランドをリスタートさせる用意がある。」と語っていた。また、「ロールス・ロイスがボーイング777のファースト・クラスを作るのであれば、われわれはコンコルドを製作したい。」とも話していた。
AUTOCARは、DBXクロスオーバーと共に、このラゴンダ・サルーンはウェールズの工場で生産されると予測している。