メルセデス-AMG S63カブリオレ
公開 : 2016.04.12 23:40 更新 : 2017.05.23 16:42
■どんな感じ?
屋根を開け放ち、コート・ダジュールに降り注ぐ太陽を全身に浴びようが、屋根を閉じた状態でモンテカルロ・ラリーで使用された道を全力で走ろうが、このクルマをドライブすることは、極めて特別なものだと感じる。
ソフト・トップをもつハイ・エンド・ライバルと比べると、速さ/ハンドリングの面で優っている。(この手のクルマを欲するカスタマーが峠道を全開で走行するとは、到底思えないのだが……)
AMG謹製のエンジンは、2210kgという乾燥重量をいとも簡単に引っぱる。同時に市街地では、まるで苦にならないなめらかなパワー・デリバリーを実現。機械的にもかなり洗練されており、すべての動作はなめらかだ。
91.7kg-mのトルクのおかげでアクセルを一気に踏みこむと、巨体は想像通りの激しい加速を披露する。さっきまで大人しかったのに。ジキルとハイドのようなキャラクターは、AMGならではのものだと感じる。
V8ユニットのゴロゴロといった音を直接聞きたければ、マルチ・レイヤーのファブリック・フードをトノ・カバーの下に収めるといい。50km/h以下であれば、わずか20秒程度で開くことが可能だ。0-100km/hタイムは実に3.9秒。2495kgのベントレー・コンチネンタルGTスピード・コンバーチブルに比べると0.5秒短い。最高速度は249km/hである。
ステアリングを切ると、切った直後にノーズが動きはじめる。大きなエンジンを鼻先に載せている場合に予想される動きとは違う、軽い動きだ。念のためにいっておくが、S63はスポーツカーではない。それゆえ通行量の少ない峠道を自身をもって徹底的に攻める乗り方には向いていない。