ポルシェ911カレラ4Sカブリオレ

公開 : 2012.10.24 23:00  更新 : 2017.05.29 19:07

■どんなクルマ?

究極のオール・シーズン・スポーツカーがこのポルシェ911カレラ4Sカブリオレだ。そのエクステリアで最も注目されるのは、標準的なRWDのカレラよりも22mm広げられたリアのホイールアーチだ。また、そのボディ・ウエイトは4WDシステムの導入によって50kg重くなっている。

クーペとカブリオレ版は一緒に開発されたため、そのエンジンはクーペと変わりない。カレラ4は345bhpの3.4リッター・フラット6を、カレラ4Sは394bhpの3.8リッター・フラット6をリアに搭載する。

ギアボックスは7速マニュアルが標準で、7速のPDKがオプションとなる。さらにわれわれのテスト・モデルにはスポーツ・クロノ・パックが付けられていた。PDKは、マニュアルよりも0.2秒速い0-100km/hが4.3秒のパフォーマンスを発揮する。

カレラ4Sはアダプティック・ダンパーが標準装備となり、カレラ4よりも10mm低い車高を持つ。更にオプション装備されたポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール(アクティブ・アンチロール・システム)は、更に10mm車高が低くなる。

その4WDシステムは、997の911ターボのものをリファインしたもので、100ミリ秒で前輪、後輪ともに100%の駆動力を配分する。PDKモデルは電子制御のロッキング・デフを持つ。また、マニュアル、PDK共にコーナリング性能を向上させるために、コーナリング中、イン側のホイールにブレーキを掛ける仕組みを持つ。

■どんな感じ?

ハードなアクセルワークが必要な難しいコーナリングでない限りは、ほとんどRWDモデルと同じコーナリング・フィーリングを持つ。しかし、本当にシリアスな場面になると、4WDシステムのメリットを感じることになる。

基本的には911のハンドリングは世界的に信頼が高いものがある。あえてオーバーステアを誘発しなければドリフト状態には持ち込めないものだ。通常では、リア・ホイールの駆動力は、終始アンダーステアに徹したトラクションを発生する。つまり、95%は、RWDと同じフィーリングがあり、そして、その寛大なドライブ・フィーリングを多くの911オーナーは評価するのである。

従って、より安いカレラ2Sでも充分過ぎるのだ。このカブリオレでは、クーペよりも70kgもボディ・ウエイトが増えており、トレッドも広くなっているが、そのフィーリングの違いは僅かである。むしろ、4WDがもたらす安心感といったもののほうが大きいかもしれない。

スポーツ・モードでは予想された通り、乗り心地は堅く、通常の路面でも調和性に欠けるきらいがある。しかし、そのシャープなボディ・コントロールはSモデルならではのものがある。

また、究極の状態においての4WDならではの安心感は、ドライバーを失望させるものではない。

■「買い」か?

あなたが911に、楽しさ、ユーザビリティ、そして好ましさを望むのであれば、カレラ4Sを購入することに大賛成だ。最も高価な911ではあるが、ライバルに対しても充分対抗できる価格を持つ。

もし、あながたが911純粋主義者であるならば、より軽くてスリルに富んだマニュアルのカレラ2Sクーペを推薦する。

しかし、毎日ハイエンドのスポーツカーをドライブしたいのであれば、4WDの911はエンターテイメントと安心をもたらしてくれることは間違いない。そういう意味に置いては、最高の911なのだ。

(ヴィッキー・パロット)

ポルシェ911カレラ4Sカブリオレ

価格 NA
最高速度 295km/h
0-100km/h加速 4.3秒
燃費 11.0km/l
CO2排出量 217g/km
乾燥重量 1535kg
エンジン 水平対向6気筒3800cc
最高出力 394bhp/7000rpm
最大トルク 44.9kg-m/5600rpm
ギアボックス 7速PDK

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