■どんな感じ?

たしかに数値上ではV10プラスに水をあけられているが、愛すべく理由は山ほどある。なかでも惹きつけられるのはエンジンだ。ターボ化が進む今となっては、やはりV10のもたらす快感は特別なものだ。

V10プラスと比べるとパワー・ダウンを感じる点は否定しないが、サウンドは相変わらず刺激的だ。スタートした直後だと周囲の人の目が気になるが、オプションのスポーツ・エグゾーストのおかげでクルージング中はすっかりと静まり返っているのもいい。

床までアクセル・ペダルを踏みこむと、状況はドラマティックに変化する。ファァンと響く高音は自然吸気ならではのもの。何度も繰り返し聴いてみたくなる音色だ。さすがにアフターファイヤの音は人工のものであるとわかるが、エキサイトさせる大切な要素であるのはたしかだ。

濡れた路面におけるテストではあったが、GPSのタイマーは0-100km/hタイム3.5秒をマークした。V10プラスから乗り換えれば加速の違いは如実に感じ取れるはずだが、車格からすると十分な値ではないだろうか。V10プラスのサスペンション・セットアップはよりアグレッシブだと感じる一方で、V10の方もコーナーを巧みにかわせる。日常域のことを考えたセットゆえ、強めのアンダーが看取されるが、メカニカル・グリップに助けられて速く走ることができる。