アウディR8 V10
公開 : 2016.04.20 23:45 更新 : 2017.05.29 18:14
勇気がある(あるいは怖いものしらず)ならば、高い速度を維持しながらブレーキを引きずってノーズを内側に向かせると話はもっとおもしろくなるだろう。
些細なアクセル操作ひとつで、リアはサラリと遊びはじめる。そこからサイドに流れはじめたところで、クアトロ・システムがフロント・ホイールに鞭を打つ。
そこからのドラマは期待できないが、少なくともモダン・スーパーカーがどれほど才能に満ちているかがわかるはずだ。バンプや窪み、うねりを踏み越えるたびに衝撃は伝わってくるが、バタバタと落ちつかないといった印象は皆無。不快も感じない。長距離でも臀部にあざをつくったりすることは(もちろん比喩的な意味だが)ない。
テスト車はオプションの可変レシオ・ステアリングを組み合わせていない。どのモードでも多くのライバルより軽く感じる。しかし操舵に対する反応は極めて精緻。以前試した可変レシオのものより正確だと感じる。
セラミック・ブレーキを組みあわせないのは先述のとおりだが、前:8ピストン、後ろ:4ピストンのキャリパーは余りある制動力を見せつけてくれる。フェードもしにくい。一般道を走る時に微細な調整がしづらい点のみが、われわれの不満点である。インテリアは他のグレード同様、極めて居心地のいいものとなっている。アウディであることがすぐに分かるだけでなく、R8専用のスイッチギアも特別たらしめる。低く構えたミド・エンジン車にしては視界が良好なのもいい。フロントの荷室容量も大きく、室内のストレージもたっぷり。毎日使ったとしても問題なさそうだ。