アウディA4アバント 2.0TFSI クワトロ
公開 : 2016.04.28 23:40 更新 : 2017.05.29 18:14
■どんな感じ?
乗ったのはA4アバント2.0TFSIクワトロ(626万円)だ。MLBエボと呼ばれるエンジン縦置きプラットフォームを使い、1984cc4気筒エンジンと7段ツインクラッチ「Sトロニック」を搭載している。最高出力は185kW(252ps)@5000〜6000rpm、最大トルクは370Nm@1600〜4500rpmとなっている。フルタイム4WDであるクワトロシステムは通常走行時に後輪に60%のトルク。状況に応じてフロントには最大で70%、リアには85%までトルクが可変配分される。
操縦した時にまず感じるのはパワー感だ。わずかなアクセルペダルの踏み込みに対して大きなトルクが湧き上がるように出てくるのが、体感的にわかる。それを電子制御式のセンターディファレンシャルギアが効率よく前後輪に配分し、クルマはすばらしい勢いで加速を味わわせてくれる。発進のスムーズさの大きな理由のひとつは車体の軽量化だろうか。ちゅうちょなく発進し、ウルトラ・スムーズな感覚で加速していくのはアウディならではかもしれない。気づくと想像を超える速度になっている。つまりその間にいや振動が起きることはなく、風切り音が不当に髙まることもなく、ナチュラルな感覚で高速走行に入っていくのだ。
ステアリング・ホイールは軽めの設定だけれど、中立ふきんでも車体の反応性は高いので、スポーティでとても好ましい。足回りはフロントもリアも硬すぎず、車体をフラットに保つ。広びろとしたリア・シートを持つだけに上質感にもつながり、上手な設定だと強く感じられる。提供してくれる価値としては、構成員の年齢が高かろうが家族4人でつねに使え、ステーション・ワゴンの利便性とともに、クーペ的なスタイリッシュさで実用一辺倒にならない、というところだろうか。いいぐあいに境界線を進んでいくコンセプトは健在である。
従来のA4アバントは無段変速機搭載だったが、ツインクラッチになって、ダイレクト感がうんと増し操縦感覚は抜群によくなった。これも特筆すべき点だ。スポーツというグレードの設定でもわかるように、いまのマーケットはスポーティなモデルの志向が強いと言われる。A4がライバルに伍していくのに、大きな武器を手に入れたことになる。
「ホイール・セレクティブ・トルク・コントロール」といってコーナリング時に内側の車輪用ブレーキを自動制御してラインどりのニュートラル性を守る、いわゆるトルクベクタリング機能も採用されている。「アウディ・ドライブ・セレクト」ではダイナミック・モードも選択できるようになっているので、高めの回転域を使ってスポーティなドライビングを楽しむことも出来るが、クルマはつねに安全性を念頭に乗員を見守ってくれているということだ。