トヨタ・オーリス・ハイブリッド Gパッケージ
公開 : 2016.05.06 23:50 更新 : 2021.01.28 17:39
THS IIの制御を現行プリウスと比較するのも興味深い。リチウムイオン電池仕様のプリウスと比較すると電動走行で賄える加速度域がオーリスは低いのだ。要するにアクセルをジワジワ踏み込んだ時にエンジン稼働走行に入るタイミングが早い。リチウムイオン電池車はニッケル水素電池車よりも充放電レートが高く、動力性能面での電動走行領域が拡大している。付け加えるなら回生ブレーキでの最大発電力も上回る。
ただし、プリウスのニッケル水素電池車と比較した時の差はそれほど大きくない。エンジン始動のタイミングが多少早くなり、エンジン稼働での加速で回転数が上がり気味になるくらい。電動走行時もエンジン稼働走行時も余力感がわずかに低下することになるが、加速時にエンジンが回り気味になるのも、スポーティカーの雰囲気を楽しむには悪くない。
もっとも、ドライブフィールは全開でも高性能と呼ぶには物足りない。踏み込み直後の加速反応のよさや緩加速時に感じる余力感では優れているが、いわゆるファントゥドライブで求められる伸びやかさが今ひとつ。こういった走らせ方はTHS IIの苦手な部分で、CVT感覚あるいはシリーズハイブリッド的な印象も強い。「回転を上げるほどに力強く加速する」を高性能の定義に掲げるドライバーは違和感を覚える可能性が高い。
導入されたTHS IIが本気でスポーティカーを楽しみたいドライバー向けでないのは開発コンセプトを考えれば当然であり、スポーティモデル特有のプレミアム感も楽しめるハイブリッド車という走りなのだ。