アストン マーティンDB11プロトタイプ
公開 : 2016.05.02 23:55 更新 : 2017.05.29 18:20
ここ最近、タネと仕掛けがわかりやすいサウンド・シンポーザーが人工的な音を聞かせる傾向があるが、ことDB11に関してはそんなことはない。もちろん排気音には人間の手が施されているが、自然な音質である。
すべてのV12エンジンがそうであるように、室内に届く音は混じりけがなく、色気と独特の味わいがある。さすがに7200rpmからは少々あえぐが、6000rpmでピーク・パワーに達するのはターボのおかげである。
1500rpmで最大トルクが立ちあがるといわれるが、体感的にはそう感じられないためパーフェクトとは言いがたい。しかしながらエンジン・スペックに対して、低回転域のレスポンスは優れているのは確かだ。
ただフェラーリ488 GTBのそれに比べると、現時点ではターボ・ラグは目立つ。一方のZF製8速ATは、いつもながらの淡々とした素早い変速を披露。このカテゴリーでは最高レベルの完成度だといえよう。
それよりも遥かに驚かされるのはシャシーのできのよさだ。ロータスから18ヶ月前にチーフ・シャシー・エンジニアであるマット・ベッカーが移籍してきた際、シャシーの開発は半分以上が終わっていたといわれるが、その代わりに、アストンがレースで培ったスポーツ性能に関する技術を彼は投入した。「DBの名をもつアストンは、アルティメットGTでなければなりません。つまり乗り心地がよくなければならないのです」と彼は熱弁する。