2016年4月 自動車販売台数ランキング

2016.05.11

文・大貫直次郎

4月の新車販売は16カ月ぶりにプラス。軽自動車は三菱自の燃費不正問題の影響で前年割れが続く

熊本大地震の影響でトヨタ自動車やダイハツ工業などが一時操業を停止し、また三菱自動車の燃費不正問題が発覚してeKシリーズおよび日産デイズの販売が中止となるなど、多くの事件が起こった4月の国内自動車市場。これらが新車販売にどのような影響を及ぼすかが注目されたが、結果は“登高軽低”の様相を呈することとなった。自動車業界団体がまとめた2016年4月の全体での国内新車販売は、前年同月比1.6%増の32万4739台と16カ月ぶりの前年超えを記録。カテゴリー別では、登録車が同7.2%増の21万2713台と3カ月ぶりにプラスに転じ、軽自動車は同7.5%減の11万2026台と16カ月連続でのマイナスとなった。市場動向に関して業界団体の関係者は「昨年4月の軽自動車は増税の影響で販売台数を大きく落としたが、今年はそれよりもさらに悪くなってしまった。一部車種で底打ち感があるものの、燃費不正問題のあった三菱自動車は軽自動車が前年同月比44.9%減(eKは同64.2%減)、供給を受ける日産も同51.2%減(デイズは同67.0%減)と大きく落ち込んだ。一方、登録車は新型に切り替わったプリウスなどの販売が好調で、前年超えを記録する主要因となった」と解説。今後については、「軽自動車は三菱自動車の燃費不正問題が5月以降により拡大する可能性が高いため、低調に推移する見込み。登録車は一部新型車が好調なものの、全体として消費税増税前のレベルに戻るにはまだ時間がかかりそう」と予想した。

車名別ランキングでは、新型に移行したトヨタ・プリウスが前年同月比136.9%増の2万770台のセールスを記録して5カ月連続での首位に輝く。続く第2位には同15.8%減ながら1つ順位を上げたトヨタ・アクアが位置。第3位には1ランクダウンでホンダN-BOXが入った。前月5位の日産デイズは第35位にまで急落する。トップ10を一覧すると、登録車が5車種で残り5車種が軽自動車。この比率になるのは、2カ月連続である。

話題の新型車の成績も見ておこう。昨年12月にマイナーチェンジしたダイハツ・タントは同36.7%増を記録して第4位に、昨年12月にワークスを追加したスズキアルトは同9.8%増で第6位にランクイン。昨年7月に新型に切り替わったトヨタ・シエンタは同953.4%の大幅増を成し遂げて第5位に位置する。2月のマイナーチェンジでRSグレードの追加などを実施したホンダ・ヴェゼルは同39.3%増で第17位に、4月12日に新型に移行したトヨタ・パッソは同33.2%増で第20位に、2月にハイブリッドモデルを追加したホンダ・オデッセイは同171.3%増で第30位に入った。また、2月に発売した新型コンパクトクロスオーバー車のスズキ・イグニスは月販目標の1500台を超える2778台のセールスを記録して第31位にランクインした。

日本自動車販売協会連合会 発表
メーカー モデル 台数
1 トヨタ プリウス 20,770
2 トヨタ アクア 13,099
3 トヨタ シエンタ 9,639
4 ホンダ フィット 7,116
5 トヨタ カローラ 6,336
6 トヨタ ヴォクシー 5,990
7 トヨタ ヴィッツ 5,968
8 日産 ノート 5,544
9 ホンダ ヴェゼル 4,635
10 トヨタ パッソ 4,020
11 スズキ ソリオ 3,749
12 トヨタ ノア 3,590
13 マツダ デミオ 3,504
14 日産 セレナ 3,411
15 トヨタ エスクァイア 3,308
16 ホンダ ステップワゴン 3,214
17 トヨタ クラウン 3,126
18 トヨタ ヴェルファイア 3,009
19 日産 エクストレイル 2,947
20 ホンダ オデッセイ 2,800
21 スズキ イグニス 2,778
22 ホンダ シャトル 2,674
23 スバル インプレッサ 2,668
24 トヨタ ハリアー 2,528
25 トヨタ アルファード 2,392
26 ホンダ フリード 2,339
27 スバル フォレスター 1,846
28 トヨタ スペイド 1,653
29 スバル レヴォーグ 1,561
30 トヨタ ランドクルーザーW 1,335

輸入車の新規登録台数は8カ月ぶりに前年超え。VWはマイナス幅が縮小

輸入車の新車販売も回復傾向を示した。4月の外国メーカー車の新規登録台数は前年同月比6.0%増の1万6071台と、8カ月ぶりの前年超え。日本メーカー車含でも同5.7%増の1万8898台とプラスに転じた。登録車に占める輸入車の割合は、国産新車が低調だったこともあり、4月単月では過去4番目に高い7.6%に達する。市場の状況についてJAIA関係者は、「排ガス不正問題の影響を受けたフォルクスワーゲンと同グループのアウディは、顧客離れにある程度の歯止めがかかりつつある。一部ブランドが新型車を積極的に投入していることも、登録台数の伸びにつながった。価格帯では400万円以上の車種が前年超えを記録したものの、販売の中心を占める400万円未満はマイナスのまま推移している」と分析した。

外国メーカーのブランド別成績では、前年同月比11.5%増の3556台の新規登録を記録したメルセデス・ベンツが首位をキープする。第2位には同9.6%増(2632台)を果たしたBMWが位置。第3位には二桁減から8.0%の一桁減(2346台)に縮小したフォルクスワーゲンが、第4位には同8.7%増(1754台)と7カ月ぶりにプラスに転じたアウディが入った。

ドイツ四強以外では、新型車攻勢や販売キャンペーン強化を実施するブランドの躍進が目立った。ボルボが同13.2%増(721台)、ジープが同68.0%増(536台)、プジョーが同41.9%増(376台)、フィアットが同25.2%増(427台)、スマートが同1841.7%増(233台)、ジャガーが同157.9%増(147台)、アバルトが同57.3%増(140台)、シトロエンから分離したDSが同100.0%増(88台)の好セールスを達成する。日本市場からの年内撤退が予定されるフォードは、同55.8%の大幅減(155台)となった。

日本自動車輸入組合 発表
メーカー 4月 2016年累計
1 Mercedes-Benz 3,556 21,222
2 VW 2,346 15,937
3 BMW 2,632 15,485
4 Audi 1,754 8,495
5 BMW MINI 1,361 7,371
6 Nissan 867 6,950
7 Toyota 1,163 5,259
8 Volvo 743 4,506
9 Suzuki 532 2,834
10 Jeep 536 2,661
11 Peugeot 376 2,412
12 Fiat 427 2,319
13 Porsche 528 2,094
14 Renault 177 1,729
15 Mitsubishi 231 1,644
16 smart 233 1,592
17 Land Rover 214 1,194
18 Ford 164 940
19 Jaguar 147 837
20 Honda 34 765
21 Alfa Romeo 88 629
22 Citroen 74 573
23 ABARTH 140 511
24 DS 88 391
25 Maserati 81 371
26 Cadillac 49 247
27 Ferrari 60 188
28 Chevrolet 44 181
29 BMW Alpina 32 147
30 Lamborghini 35 125
31 Bentley 36 122
32 Chrysler 20 120
33 Dodge 34 94
34 Lotus 15 85
35 Aston Martin 14 62
36 Rolls Royce 10 56
37 Hyundai 5 50
38 Mclaren 16 45
39 Scania 8 40
40 GMC 4 11
41 Rover 1 9
42 Lancia 2 6
43 Hummer 1 5
44 Autobianchi 2 4
45 Buick 1 3
46 MG 1 3
47 Morgan 1 3
48 Unimog 3
49 Pontiac 2 2
50 Bugatti 1
51 Detomaso 1
52 PROTON 1
53 Kia
54 Saab
55 Others 13 108
合計 18,898 110,443

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