アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ

公開 : 2016.05.11 23:50  更新 : 2017.05.29 18:24

ステアリングのセッティングは、総じてかなりクイックだ。ここ最近のアルファの好みに加えて、フェラーリのシャシー・エンジニアがジュリアの開発に携わっていることを考えると、こうなったのも納得がいく。

最初はクイックであることに驚くが、かといって神経質すぎないため、次第にドライバーの意図に馴染んでくる。この程よさが心地いい。1時間も走らせれば、思い通りに振り回せるようになるはずだ。

エンジニアの仕事の徹底ぶりは、フロント・エンドの動きですぐに把握できる。他ライバルが顎をだすところでも、必要以上にナーバスだったりあいまいなところなしにコーナーをやり過ごす。アンダーも抑えられている。

ダブルウィッシュボーン・フロント・サスは、キャンバー・コントロールをほどよく行い、結果的にフロント・ホイールの動きが制約されすぎていると感じることもない。ステアリングの初期のフリクションとも無縁だ。

センター付近では、やや軽い印象もあるが、少し舵角をませば、気持よく重みがましていく。もっと切ると、スパっとノーズが向きを変える。扱いやすいといえよう。

バロッコのなめらかな路面のテスト・コースしか走らせてくれなかったものの、縁石を踏んでみたところ、車体は慌てふためくことなく衝撃をいなしていた。ボディ・ロールも最小限まで抑制されていた。

リア・デフの動作も極めて迅速だ。いかなるモードでもきちんと安定しており、カンターステアを与えてやれば、そのままサーッと横方向に流れる。そのままなめらかに軌道を戻すことができ、思わず笑みが溢れる。

BMW M3はジュリア・クアドリフォリオほど懐深くないが、ギアボックスに関してはM3の方が優れた仕事をする。異なるのはシフト・スピードだが、それゆえジュリアは本当に500ps超えのクルマかわからなくなる。

限界付近のハンドリングと同じくらいに優れたパワートレインであったならば……と思うのは、非現実的な望みかもしれないが、筆者はそう思う。現状の8速ATはメルセデス-AMGの4.0ℓV8の方が相性がよさそうだ。

■「買い」か?

アルファ・ロメオのファンは、本質的なスポーツ・サルーンをどれほど待ち焦がれていたことか……。全般的な印象は、ここ最近のアルファのなかで最高といえる。初期の売上げはグッと弾みをつけることになるだろう。

今後精査すべくは、英国の道でも納得のいく乗り心地であるかどうかである。さらに、値段に対する内装素材のクオリティにカスタマーが果たして満足できるか? も、ジュリア・クアドリフォリオの課題となるだろう。


アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ

価格 £55,000(867万円)
最高速度 306km/h
0-100km/h加速 3.9秒
燃費 11.8km/ℓ
CO2排出量 198g/km
乾燥重量 1524kg
エンジン V型6気筒2891ccツイン・ターボ
最高出力 510ps/6500rpm
最大トルク 61.2kg-m/2500-5500rpm
ギアボックス 8速オートマティック


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