21インチのアロイ・ホイールを標準で履いているS8プラスでさえ、これまた標準のエア・サスペンションが、下からの入力を吸い込んでくれる。

もちろんかなり大きな突起物を超えると、振動はキャビンに伝わってくるし、メルセデスのそれに比べるとジャッジの仕方は異なるが、実に落ち着いた乗り味である。

理想的ではないのは、むしろステアリングの方だ。可変レシオの ‘ダイナミック’ ラックといわれるものを標準で組み合わせているが、残念なことにノーマルの方がいい。こちらだとオーガニックな感覚がないのだ。

しかし、一方のリア・バイアスに動力がかかる、可変4WDは極めてストイックにグリップを生みだす。車格が車格だけに、ボディは大いにロールするが、求める通りに次々ととてつもない速さでコーナーをこなせる。