ポルシェ718ボクスター
公開 : 2016.05.16 23:50 更新 : 2017.05.29 19:04
■どんな感じ?
‘Sの下級グレード’、あるいは ‘ベース・グレード’ という見方で評価すると真実が見えにくくなるのは、いつだってベース・グレードの質が高かったからだ。それに、数値も2.0ℓフラット4として並大抵のものではない。
出力は300ps、トルクは38.7kg-m。それも1950rpmから湧きだす。先代のボクスターと比べると、約半分の回転数で、より大きなトルクを生むのだ。重くなったにも関わらず先代Sより0-100km/hタイムも短い。
しかしこれらは、評価軸の中心にはならない。生のデータよりも、その数値がどのようにしてもたらされるかの方が大切だからだ。結論からいおう。‘いい部分’ と ‘あまりよくない部分’ が混在しているように思える。
シャープで朗々としたエグゾースト・サウンドを響かせ、なおかつ上の回転域まで気持ちよく回る、従来の自然吸気ユニットが好きなのであれば、2.0ℓフラット4を搭載したボクスターに乗ると、落胆するはずだ。音に荒々しさがないのは事実である。
しかし、これまでのボクスターSに比べると、私自身はスイートだと思っている。パワー・デリバリーにもターボチャージド・エンジンによくある唐突さが見受けられない。
だからといって2.0ℓ4気筒ターボであることを、むやみな演出でかき消そうとする往生際の悪い演出をしなかったことにむしろ私は共感する。アイドル時からリミッターまで、まごうかたなき2.0ℓ4気筒ターボなのだ。