フォルクスワーゲン・コンビ・スタンダード1.4
公開 : 2012.10.30 15:00 更新 : 2017.05.29 18:58
■どんなクルマ?
1950年から生産されるクラシックなフォルクスワーゲン製のキャンパー・バン、コンビは、今も尚、1日251台というペースで、ブラジルに於いて生産がされ、南アフリカにも輸出されている。ブラジルでは48,150レアルというからポンド換算すると14,800ポンド(189万円)という価格が付けられている。
コンビは、本当に長年変わらず生産されている。まだ、リア・エンジンのままで、3列のシートを持ち、リアはスライド・ドアが採用されている。ルックスでオリジナルと異なるのは黒いフロント・グリル程度だ。
しかし、そのエンジンはガソリンまたはエタノールで動く1.4リッターの水冷エンジンが搭載されている。これは、英国ではポロに搭載される1.4リッターノーマル・アスピレーション4気筒エンジンだ。そして、ギアボックスは4速マニュアルが組み合わされている。
■どんな感じ?
客観的に見れば、そのドライバビリティは酷いとしかいいようがない。ギアボックスは手応えがないし、リア・ヘヴィなため、どんな曲がり角でもそのターン・インには不安がつきまとう。
しかし、コンビはそういった類の評価をするべきモデルでは既にない。ステップを上がってキャピンに上がると、そこには素晴らしい光景が広がる。すべてのキャビンが軽く優美で、その単純さは明快ですらある。ステアリング・ホイール、ハザード・ライト・スイッチ、シガー・ライター、インディケーター、ヘッドランプ・スイッチ、シングルレバーのエア・ベンチレーション、ハンドブレーキ、ギアレバー、それがコントロールの全てなのだ。ラジオもエアバックもエアコンもESPさえない。もちろん、情報エンターテイメント・システムなどとは無縁だ。
ギアボックスについては苦言を呈したが、エンジンは著しく良い印象だ。力強く、扱いやすく、コンビに必要とされるパワー、つまり、ブラジルの大家族を乗せて走るためのパワーは充分にある。ちなみに、ガソリンではなくエタノールを燃料に使えば、そのパワーは2bhp、0.3kg-mあがり、0-100km/hも0.5秒短くなる。
乗り心地は非常に素直で、長いサスペンション・トラベルは、大きな衝撃をキャビンに伝えないものであった。
■「買い」か?
ブラジルあるいは南アフリカでないと、フォルクスワーゲンのディーラーからこのコンビを買うことはできない。ギリシャに、このコンビを輸入して販売している会社があるらしいが、当然ブラジルで購入するよりも高い価格がつけられている。
残念ながら、ブラジルの法改正によって、エアバッグとABSのないクルマは生産できなくなってしまうことから、このコンビも2013年12月31日をもって生産が中止されることが決まっている。つまり、コンビは、現在買うことのできるクラシック・モデルの最後の1台である。
(マーク・ティショー)
フォルクスワーゲン・コンビ・スタンダード1.4
価格 | 14,800ポンド(189万円) |
最高速度 | 129km/h |
0-100km/h加速 | 16.1秒 |
燃費 | NA |
CO2排出量 | NA |
乾燥重量 | 1259kg |
エンジン | 直列4気筒1390cc |
最高出力 | 79bhp/4800rpm |
最大トルク | 12.7kg-m/3500rpm |
ギアボックス | 4速マニュアル |