RMサザビーズ・モナコ・オークション

●2016.05.14 モンテカルロ／モナコ

F1モナコGPに先がけで行われるグランプリ・ヒストリック・モナコにリンクして、ふたつのジャー・オークションが開かれた。その最後を締め括ったのがRMサザビーズ・モナコ・オークションで、モナコゆかりのモデルを中心に用意された。

 
グランプリ・ヒストリック・モナコに集まるエンスージァストに向けたコレクターズ・オークションは、まずボナムスが5月13日に開催しRMサザビーズは翌14日に行われた。先にも記したが、4月のコレクターズ・オークションは完全に休みとなり、このモナコが夏に向けての再スタートとなる。

モナコ・オークションではモナコにちなみ、往年のモンテカルロ・ラリーに参戦したモデが目玉となり、その他もモナコに相応しいフェラーリを始めとする華やかなクルマ達が並んだ。ここでは通常のオークションに加え、イタリアの自動車専門誌であるクアトロルウォーテがコレクションしていた車両が放出された。自動車の歴史を物語るエポックな出品物は、19世紀のコーチや自転車から歴史的な2輪、4輪車などが39点用意された。ここでは20世紀に入ってからの4輪車をリスティングしてある。こちらはブガッティやイスパノ・スイザなどの例外を除くと、ほとんどがお値頃価格で落札された。

モナコ・オークションはRMサザビーズらしく、話題性に富むモデルが用意された。事前の案内で主役だった1968年型フェラーリ275GTS/4 NARTスパイダーは23億円と思われる最低落札額に届かず流れてしまったが、1951年型フェラーリ 340 アメリカ・バルケッタ・トゥーリングは8億9544万円で落札された。このほか1952年型フェラーリ 212 インテル・カブリオレ・ヴィニャーレは購買層とのギャップから1億4465万円に留まるが、1966年型フェラーリ 275GTS はスッキリとしていることから新記録となる2億2042万円まで値を上げた。

一方で1964年型フェラーリ 250GT/L ベルリネッタ・ルッソと、1967年型フェラーリ 330GTS、1972年型フェラーリ 365GTS/4 デイトナ・スパイダーなどは強めに最低落札額だったようで、いずれも流れてしまった。出品された19台のフェラーリの中落札されたのは7台だけで、売り手の考える価格と、買い手がイメージする価格が乖離してきたことを物語っている。本当に価値のあるものは高額で落札されるが、吊られて値上がりしたものは、ほとんどが流れてしまい、以前にもましてシビアに選択される傾向になってきた。

今年に入ってからのコレクターズ・オークションは、世界経済の先行きの不透明さから値を下げてきている。今回の売り主は昨年後半の相場で出品したものと思われるが、世の中はそれより下落していたのである。リザルトを見てゆくと以前よりちょっと安いクルマはちゃんと落札されている。ちなみにモナコ・オークションでは出品された77台中落札されたのは46台に留まり、成約率は59.7%と低調だった。

他に大台を超える出品車はほとんどが流れて苦戦しており、落札されたのは1997年型ポルシェ 911 GT1 エヴォリューション／3億4096万円と1948年型タッカー 48／1億6532万円、1955年型メルセデス・ベンツ 300SL ガルウイング／1億5154万円、そして1988年型ポルシェ 959 コンフォート・ステージ II／1億1021万円の4台だけだった。

またモナコでのオークションということから、伝統のあるモンテカルロ・ラリーに関わるモデルが5台出品された。1961年型オースチン・ヒーレー 3000 Mk-I ワークスカー／4960万円、1952年型ベントレー Rタイプ・サルーン・ラリー・モンテカルロ参加車／579万円、1982年型ルノー 5 ターボ・グループ 4／5855万円で終わった。この中でベントレーはラリー・モンテカルロ・ヒストリックに参加できることを考えるとお買い得かも知れない。このほか1974年型アルピーヌ・ルノー A110 1800 グループ4 ワークスカー／予想最低落札額2952万円と1984年型プジョー 205 T16 エヴォリューション1 グループB／予想最低落札額7380万円は高価だったためか流れている。

このほかのモナコらしい出品車は、モナコGPを走ったマーチ711や、フィアット 500 マーレ、フィアット 850 スピアゲッタ・ミケロッティ等のビーチカーがオークションを盛り上げた。