レンジ・ローバー4.4 SDV8オートバイオグラフィ
公開 : 2012.10.31 14:33 更新 : 2017.05.29 19:40
■どんなクルマ?
1970年にデビューし、それまでのオフロード・ビークルの世界を一新してしまったレンジ・ローバーも、今回のフルモデルチェンジで第4世代となった。その成功は、実用本意なランド・ローバーを、マルチ・パーパス化したことによるものだった。
オリジナル・モデルは、運転しやすく、トラディショナルな高級サルーンのような乗り味を持っていた。それは長年にわたって受け継がれてきたレンジ・ローバーの美点であり続けている。そして、2013年モデルとなる新しいレンジ・ローバーは、更にその魅力を増したのである。
印象的なルックスと、ハイクオリティなインテリア、そして重量をぐっと減らしたアルミニウム製シャシー、200g/km以下に抑えたCO2排出量を持つディーゼルV6エンジンを含む効率的なエンジン・ラインナップなど、そのセールス・ポイントは多くある。
■どんな感じ?
われわれがテストしたのは、334bhpのツインターボの4.4リッターのSDV8エンジン搭載モデルだ。トルクは71.3kg-mと強大で、そのピーク・トルクは1750rpmから3000rpmの間で発揮される。トランスミッションは、ZF製8速オートマティックが組み合わされ、パドル・シフトを備える。
価格は84,320ポンド(1,078万円)からスタートするが、広範囲なオプションを選ぶと120,000ポンド(1,535万円)まで跳ね上がる。
そのパフォーマンスは素晴らしいのひとこと。、最高速は217km/hで、0-100km/hは6.2秒だ。もちろん、100km/hに達してもレッドラインの4500rpmまでは遥かに余裕がある。
基本的には静かなエンジンで、あえてエンジン回転を上げるとV8独特の唸りが聞こえる程度。そして、その唸りと共に、巨大な輪ゴムで引っ張られるかのような駆動力が味わえる。
シフトショックは殆ど感じることができない。そのシフトパターンは必要に応じてスポーツに切り替えることができるが、積極的な走りを楽しむのであれば、むしろパドル・シフトを利用することをおすすめする。
ハードなオフロード・コースであるテライン・レスポンスを舞台とした走行でも、レンジ・ローバーは問題なくこなしてしまう。スロットル、クリアランス、トランスミッション、シャシー・エレクトロニクスを路面コンディションによって自動的にセットするシステムが組まれているからだ。
トレッドは広くなり、グラウンド・クリアランスも20mm大きくなった。サスペンションは、セルフ・レベリングを備え、ウォーター・プールは前モデルよりも20mm高い900mmの深さまで走破できるようになった。
オンロードでのフィーリングは、前モデルよりも安定した感じで、スムーズな乗り心地と、横風による影響も少なくなり、リラックスしたドライブが可能となった。また、ステアリングは特に直線方向での正確さを増した気がする。前のレンジ・ローバーも運転しやすいクルマであったが、その運転しやすさは4代目となってさらに磨きがかかったといえる。
■「買い」か?
新しいレンジ・ローバーSDV8は決してお買い得なクルマではない。レンジ・ローバーの安いモデルは70,000ポンド(895万円)で手に入るのだから。
しかし、旧型よりも遥かに改善されたことは明らかだ。後は、この新しいレンジ・ローバーが、新しいSUVのスタンダードになるかどうかを見極める必要があるだろう。
(スティーブ・クロプリー)
レンジ・ローバー4.4 SDV8オートバイオグラフィ
価格 | 84,320ポンド(1,078万円) |
最高速度 | 217km/h |
0-100km/h加速 | 6.9秒 |
燃費 | 10.7km/l |
CO2排出量 | 253g/km |
乾燥重量 | 2360kg |
エンジン | V型8気筒ツインターボ・ディーゼル4367cc |
最高出力 | 313bhp/4000rpm |
最大トルク | 71.3kg-m/3000rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |