DS5シック・レザーパッケージ
公開 : 2016.06.03 23:55 更新 : 2021.01.30 22:12
■どんなクルマ?
第二次大戦直後から1950年半ば代に掛けて、シトロエンは画期的なクルマを2つ、世に送り出した。1948年発表の小型大衆車2CVと、1955年デビューの高級サルーンDS19である。いずれもスタイリングの面でもメカニズムの面でもあまりにも個性的だったため、直接的なフォロワーは現れなかったものの、当時の自動車界に計り知れぬ衝撃を与えたクルマだった。
今や世界中のメーカーがブランディングに熱心に取り組む昨今、その後者たるDS19のネーミングの柱である「DS」の2文字が、シトロエンのプレミアム・ブランドのネーミングになった。このDSブランドの哲学は「アヴァンギャルドの精神」であり、それが具現化するものは「フランス流の洗練」であるという。
現在DSブランドには、DS3、DS4、DS5の3モデルがラインナップされているが、それらを一堂に集めた試乗会が先頃、御殿場をベースにして開かれた。そこでまず乗ったのが現行DSシリーズで最大にして最上級のモデル、DS5だった。
DS5は、2725㎜という長いホイールベースに全長4535×全幅1870×全高1510㎜というサイズのボディを持つ、Cセグメントとしてはやや大きめの5ドアで、シトロエンDS5としてのデビューは2011年のことだった。パワーユニットは当時も今も基本的に変わらぬ直4ターボのガソリンとディーゼルがメインで、前輪を駆動する。つまりかつてC5やC6にあったV6は、最初から設定されていない。
サスペンションも同様で、DSの名から連想するオイルと空気によるシトロエン独特のシステム、ハイドロニューマチックは採用されておらず、フロントがストラット、リアがトーション・ビームという、一般的な形式の金属スプリングの脚を持つ。実はDS5、ホイールベースこそ延長されているものの、プラットフォームの基本はDS4と共通なのである。