DS5シック・レザーパッケージ
公開 : 2016.06.03 23:55 更新 : 2021.01.30 22:12
というところで走り出すと、DS5で外観に劣らず特徴的なのはその乗り心地であることが、少し走れば即座に感じ取れる。前記のとおりDS5のサスペンションはハイドロニューマチックではなく、コイル・スプリングによるフロントがストラット、リアがトーション・ビーム式だが、にもかかわらず意外とストローク感のあるその乗り味は、何処となくハイドロっぽい。さすがに本物のハイドロニューマチックには及ばないものの、長いホイールベースと相まって独特のフラット感があって、ボディの動きがゆったりしているように感じられる。
たしか南仏試乗会では、DS5はスポーティな走りを意図したクルマだと説明された記憶があるが、サスペンションは決して硬くなく、むしろ現代のクルマとしてはソフトな部類だといっていい。しかもその脚の動きは5年前より洗練されていると感じた。18インチのミシュラン・パイロット・スポーツ3は、路面の継ぎ目などでは多少のショックを伝えてくるが、乗り心地は総じて快適なものだ。
サスペンションが比較的ソフトなために、コーナーでは若干ロールするが、車体を傾かせることによってアンダーステアを吸収、結果としてニュートラルな感じでコーナーを抜けていくハンドリングもシトロエン流であり、ハイドロニューマチック流でもある。
ステアリングは特にクイックというわけではないが、それなりに手応えがあり反応も正確、それに加えてコーナリング操作後にセンターに戻ろうとする力、セルフ・センタリング感が明確に感じられるのも、DSやSMといったかつてのハイドロニューマチック・シトロエンを連想させる。ちなみにブレーキも充分な能力を持っていると感じた。