プジョー2008 1.6ブルーHDi
公開 : 2016.06.03 23:40 更新 : 2017.05.29 19:00
これまで以上にがっしりとした2008は、魅力が増しているものの、一流にはなりきれていない。
■どんなクルマ?
このページでテストするのはフェイスリフトしたばかりのプジョー2008。スタイリングと装備リストに変更がくわえられたが、目に見えない部分はほとんど変わっていない。ラインナップはこれまでのままだし、シャシー・セットアップも変わらない。世界で50万台以上売れているのだから、変える必要がない、というのがプジョー側の意見のようだが……。
ルノー・カジャールや日産ジュークなどのライバルに対抗するために、まずはノーズが見直された。大きいグリルのなかにエンブレムを移し、より多くのカスタマーにアピールしたいようだ。
テスト車両はGTラインというトリムだが、これは従来のトップ・グレード、フェリーンと呼ばれるものの後継にあたる。よりスポーティであることを目指し、ルーフ・バーとグリルはグロス・ブラックに塗られている。プジョーのレタリングは赤だ。パノラミック・ガラス・ルーフ、赤のステッチがインテリアの特徴であり、この他には ‘グリップ・コントロール’ システム(悪路で前輪のグリップを最大限する電気システム)が標準となる。
■どんな感じ?
運転した感覚は、これまでとまったく同じ。何も変わってないのだから当然である。120psを発揮する1.6ℓのディーゼル・エンジンはここ最近のプジョーにとって必要不可欠なもの。アイドリング時、エンジンはガラガラとがなりたて、キャビンにも音が侵入してくる。市街地のドライブでさえ、サスペンションやタイヤ・ノイズは少なからぬ音を発している。高速域でも同様だ。ただし、力強い。パワーを引きだすためにハードに回す必要もない。それだけに、安っぽいギアの操作感はいただけない。よろこびとは無縁である。
一方、衝撃のいなし方はとてもうまい。いやな振動とは無縁であり、荒れた路面でも脚をパタパタと動かすことで、臀部に衝撃を伝えない。ただ、ステアリングを切りはじめた直後の、必要以上のアグレッシブな動きには驚くほかない。小径のステアリングがさらに助長している。よくいえば ‘元気がいい印象’ ということになるのかもしれないが、結果的に微修正を加えなければ、まっすぐと走れないという欠点も抱き合わせている。
シート高を208や308などのハッチバックより高くしているおかげで視界は広い。また、視点が高く、ステアリングが小さいおかげでメーターも見やすい。極端に小さなステアリングに、はじめは違和感を覚える向きも少なくないだろうが、見やすさという、プジョー側の目的はきちんと果たされている。キャビンの見た目もこのクラスのなかでは最高レベルだ。多くのグレードに組み合わされる7.0インチのカラー・スクリーンは、Apple CarPlayとMirrorlinkに対応済みだ。