ボクスターSに比べると103psのビハインドとなるが、そのぶんボクスターSはエリーゼ・カップ250よりも400kg重い。これはエリーゼが、21kgの軽量を果たしているから、というのも大きく影響している。

したがってパワー・ウエイト・レシオは両者ともにかなり接近している。また0-100km/hタイムもボクスターSが4.6秒、エリーゼ・カップ250が4.3秒と近い。

価格もボクスターSが£50,695(779万円)、エリーゼ・カップ250が£45,600(701万円)となっている。エンジンは2つの座席の直後に置かれ、気筒数は4つ。6速マニュアルを介して後輪にパワーが伝わるのも同じである。

ボクスターには718という名前がつき、ヘリテージを全面に押しだしながら、外観も変わった。ハッとするほどグラマラスではないものの、よく見ればシンプルにして優美になっている。グウィネス・パルトローみたいだ。

対するエリーゼは、戦闘の構えだ。何かを切り裂くのでは、というほどのリア・ディフューザー、フロント下部から突きだしたスポイラー、そしてランチ・テーブルみたいなリア・ウイング。ひとつひとつ説明しなくとも「速く走るためのクルマなんだ」と肌でわかる。

ただ、これらが威嚇のためではない、というのは言うまでもない。£4,000(61万円)する、すべてがカーボンファイバーのパーツたちは、161kgにて、66kgものダウンフォースを生成するのである。サーキット走行に重点を置いたシリアスさは、インテリアにも反映されている。ステレオは潔く取っ払われ、シート後方を見ればカーボンの目地がみえる(スタンダードのシートよりも6kg軽いという)。見るからにスパルタンな印象である。

なにか汚いワードを浴びせたくなるくらいにぶ厚いサイド・シルをまたぎ、これまた低いフロアにわたしの体をおさめると、となりのシートに座ったフォトグラファーとの近さに息が詰まりそうになる。右膝はドア・パネルに、左膝はセンター・トンネルに当たる、といった具合に車内はタイトで、3分後にはペラペラのシートがわたしの背中をじわりと攻撃してくる。