ポルシェ718ボクスターS vs ロータス・エリーゼ
公開 : 2016.06.06 23:50 更新 : 2017.05.29 19:30
しかし、‘あくまでターボ・ユニットのなかでは’ という条件つきであることは認めざるを得ない。やはりNAのフラット6の方が、レッド・ゾーンまで回したくなる。最後の ‘もがき’ もNAの方がいい。これは事実である。
ロータスに関して特筆すべくは、ボクスターSのそれよりも控えめなサイズで、同等、いくつかの部分ではボクスターS以上のことをしているという点だ。
ヘセルのエンジニアたちは、控えめなトヨタ製エンジンを、よりドライバーを掻き立てるものにチューンした。2500rpmのパワー感はボクスターSにまるで劣るものではないし、2500rpm以下のラグもほぼない。
0-100km/hタイムが0.3秒の差というのは先にも書いたとおりだが、体感的にそう感じないのは、いくらエリーゼの方が軽いといえども、ボクスターSの42.9kg-mという最大トルクに対し、エリーゼの方は最大でも25.4kg-mしか生みださないから。
ポルシェは「718ボクスターは、先代のボクスター・スパイダーと同じくらいのラップ・タイムを刻めます」とコメントしているが、奇遇にもこのテスト前にトライしたモデルがスパイダーだった私は、これを認めざるを得ない。ミラクルだ。
シャシー(いうまでもなく£1,133(17万円)のPASM可変ダンパーがその大半を占めるのだが)は驚くほど落ち着いている。ほとんどの環境でも車体はフラットだ。目をつぶっていればグランド・ツアラーとさえ思ってしまうほどだ。20インチのホイールで、キャッツアイを踏んだとしても、極端に狼狽することはない。これに対し、まだ路面が乾ききっていない状況で、ヨコハマ製A048を履くエリーゼを飼いならすのは簡単ではなかった。まるで波乗りをしているようだった。
走りを意識したモデルだけにパテのような乗り心地も期待できないが、その代わりにミクロ単位で細かな調整ができる。ビルシュタイン製のガス・ダンパーとアイバッハ製コイル・スプリング、そしてボンド結合されたアルミ・シャシーのなせる技である。