アウディS4

公開 : 2016.06.09 23:40　　更新 : 2017.05.29 18:14

ただ、峠道を走らせても、標準のA4よりドライブにのめり込めない点が残念でならない。たしかに電気機械式ステアリングはダイレクトだし、‘ドライブ・セレクト’ システムはコンフォート〜ダイナミックまで幅広いレンジが用意されていることをアピールしてくれる。

ただ23mm車高を下げ、19インチ・ホイール(245/35サイズ)を組みあわせるなど、足元の変更が加えられているにもかかわらず、密に触れあっている感覚が希薄なのだ。機能一辺倒で、肝心なコミュニケーション能力が欠けている、という印象が正直なところである。

ロード・ノイズは巧みに抑制されており、コーナーに速く入りすぎてもロールはうまくコントロールされているが、やはり車高が落ちたぶん、(特にフロントの)ホイール・トラベルは小さくなっているから乗り心地にも犠牲がでている。たとえ ‘コンフォート’ モードでも、小刻みに車体を揺らすことが少なくなかった。

■「買い」か?

8月に英国内で販売が開始した際、多くのカスタマーが飛びつく理由は簡単に見つけられる。速度、質感、控えめな外観、居心地のいいインテリアなどがカスタマーを魅了するポイントとなるだろうが、やはりコミュニケーション能力の不足は見逃すことができない。

BMW 340i やメルセデス-AMG C43 4マティックは、同じ価格帯だが、もっと運転していて楽しい気持ちになれる。この手のクルマに峠のマナーなど関係ないかもしれないが、これらがS4よりも飽きの来ないクルマであることは間違いない。