贅沢をいうならば、アクセル・ペダルを強めに踏んだときのエンジン音をもう少し静かにしてほしいが、一定の踏力でアクセルを踏めば、同クラスでもかなり静かな部類だといえよう。路面からの音も同様である。

ただ、テスト車には£950(15万円)の可変リア・サスペンションと18インチのアロイ・ホイールが組みあわされていたのだが、こちらはかえって、長周期的なボディの浮き沈みを引き起こしているように感じた。

大部分において気にならないのだが、ダイナミック・モードでもコーナリング時はルーズな挙動を示すし、やはり、ぶわりとした上下動は無視できないこともあった。

必然的に、正確無比なハンドリングは諦めるべきだが、卒のないグリップ・レベルと、適切に仕立てられたステアリング・レシオのおかげで自信が損なわれることはない。よって、峠道でも決して嫌な気持ちにはならない。

シャープさだけで考えるとBMW 520dの方が優っているが、S90のおっとりとしながらも、大事な部分をきちんと押さえている仕立てもこれはこれでいい。