BMW 440i グランクーペ・ラグジュアリー
公開 : 2016.06.13 23:50 更新 : 2017.05.23 10:23
■どんな感じ?
BMW440iグランクーペ(799万円)のよさといえば、類のないスタイリッシュな4ドアというコンセプトにある。全長4640mmの車体はのびやかで、それはリアに向かって緩やかに傾斜するルーフ・ラインでさらに強く印象づけられる。クルマは頭とハートとで買うものだとしたら、機能と感性ともに訴えかけるこのモデルは、ベストな組み合わせを持っているといえる。スポーティさで鳴らしてきたBMWを支持するユーザーに好かれるのはよくわかる。
BMWのクーペの歴史は古い。会社が戦後の疲弊から立ち直り本格的に乗用車生産に舵を切る決心をさせてくれたのも、1959年の700クーペだった。全長3.4メートルほどのボディに2気筒エンジンを搭載したコンパクトな後輪駆動だったが、あえて小さく作ったキャビンなど、この頃からスポーティネスを大事にする企業方針が定まっていたように思えるスタイルである。
有名な2000CS(65年)や2002シリーズ(66年)、それに続く3.0CS(68年)など、初代3シリーズや6シリーズといった2ドアモデルが出るまでに、流麗なクーペがBMWの名声を確立していったのだった。その系譜に連なる440iグランクーペも、これまで触れてきたように、見てよし乗ってよし、と評することが出来るモデルである。
新世代の直列6気筒エンジンは、さきに340iセダンおよびツーリングと740iに搭載され、日本市場にも導入されているもの。そのすばらしいフィールは、そういうわけですでに証明されている。いまや希少になった直列6気筒で、バランスよい回転マナーと、適度な排気量によるパワー感など、魅力が多い。BMWといえばストレート・シックス。昔からの決まり文句がいまも通用するところが嬉しい気分にさせられる。