乗り心地も恐ろしくいい。エア・スプリングをコンフォート・モードか、あらゆる環境に対応するベントレー・モードに固定していれば、マーゴ・フォンテインのバレエ・ダンスのごとく、地面から浮いているかのようなステップを踏む。スポーツ・モードでは足元はキュッと引き締まるが、受ける力を無理に封じこめてはいない。

ホットハッチに乗るかのようにコーナーに飛びこめば、ボディの大きさに驚くことになるが、制御不能になることがなく、慣れればコーナーの多い道でもリズムを掴むことができる。低速では体躯の大きさを感じさせたステアリングも、キビキビと向きを変えられるようになる。

2685kgのクルマを扱っていることを忘れられることには、自然と笑みがこぼれていることだろう。

「いえいえ私は速さなんかに興味がないんです」という場合は、シート・マッサージをONにすればいい。そしてサティのジムノペディ第1番を流せばいい。20のスピーカーに20のチャンネル、2200ワットのネイム・オーディオ製ステレオが極上の音で、あなたの人生を祝福してくれるに違いない。