後期に座り、足を前に投げだし、前席の背後に備えつけられた10.2インチのタブレット(ふたつある)で映画を楽しむのも苦しゅうない。

■「買い」か?

わたしはミュルザンヌに惚れている。しかし、このクルマに乗るあいだ、ずっとアンディ・マリーのことを考えていた。ノバク・ジョコビッチがラケットの代わりに彫刻刀をもっていれば、アンディは今ごろ、プロ・テニスの世界タイトルを手にしていただろう。

同じように、ロールス・ロイスがキャンピングカー・メーカーだったならば、ベントレー・ミュルザンヌは ‘世界一高級なリモ’ になっていたのではあるまいか。

しかしミュルザンヌにも勝ち目はある。

晩年のティム・バーキン(ノッティンガム生まれのレーサーだ)は、移動する際、後席に乗るよりも、自分で運転する方を好んだ。そういった人がたくさんいることも知っている。そして、そういった人は、ミュルザンヌの方を好むはずだということも知っている。

もちろん、£252,000(3,782万円)という価格は決して安くないが楽しみに、値段をつけられないというこも知っている。

ベントレー・ミュルザンヌ・スピード

価格	£252,000(3,782万円)
最高速度	306km/h
0-100km/h加速	4.9秒
燃費	6.7km/ℓ
CO2排出量	342g/km
乾燥重量	2685kg
エンジン	V型8気筒6752ccツイン・ターボ
最高出力	537ps/4000rpm
最大トルク	112kg-m/1750rpm
ギアボックス	8速オートマティック